SHIBUYA109(以下109、渋谷区道玄坂2)などを運営するSHIBUYA109エンタテイメント(同)が9月26日、ショップスタッフの接客ロールプレーイング大会を開いた。
有志のショップスタッフ、バックスタッフ、運営事務所スタッフが2015年6月に発足した「109CS向上委員会」発案の下、ショップスタッフの接客力と働くモチベーションの向上を図り2015年から開いている。
これまで109とMAGNET by SHIBUYA109(旧109メンズ、以下MAGNET)のショップスタッフのみを対象にしていたが、今回はSHIBUYA109ABENO(阿倍野)、SHIBUYA109KAGOSHIMA(鹿児島)、109MEN’S天神コア(天神)の国内全店舗を対象に拡大。6月から各地で予選を行い、106人から決勝に進んだ25人が集結した。
会場にはラックや鏡などを置き、背景のビジョンに店舗の写真を写すなど、実際の店舗をイメージしたステージを用意。競技者はブランドの商品を使い、役者が演じる実際の来店客層と近い客を相手に6分間の接客を行った。会場には、同じブランドのショップスタッフらも応援に駆け付けた。
競技者は、「デート」「旅行」「誕生日パーティー」など着るシチュエーション、普段着のテイストなどを聞きながら、雰囲気や好みなどに合わせた商品や色使い、着こなし方などのアドバイス、小物を取り入れたコーディネートなどを提案。アパレルだけではなく、ヘアカット「QB HOUSE」、アクセサリー「BLESS」なども参加した。
優勝したのは「MOUSSY(マウジー)」の山下智子さん。1回目にも出場したが「すごく悔しい思いをした」ことからリベンジを誓い、「いろいろな方に出会って、接客をたくさんしてきた」という。「仲間やお客さまなどたくさんの方に支えられて優勝できたので、うれしさしかない」と喜びを表現。笑顔や「お客さまのニーズに沿った接客を意識」した接客で優勝をつかみ取った。「やり切った感はあった」と振り返った。「また『109に来たい』と思ってくれる方を増やせるよう、同じブランドのスタッフや109全体(の販売員)に私から発信していきたい」と意欲を見せた。上位3人には金・銀・銅それぞれのバッジと、副賞としてニューヨークへの研修旅行が贈られた。
「109賞」を受賞したメンズアクセサリー「BLESS」の門脇直人さんは「いつもの店と違う場所でかなり緊張した」と言うが、「いつもやっている、お客さまのニーズに合わせて、商品を提案するスタイルを発揮できるよう意識した」と振り返った。優勝を目指し今後も挑戦する予定。
阿倍野から参加した「AZUL by moussy」の中村倣子(よりこ)さんは5位入賞を果たした。新宿店にある大型店に「勝つためのきっかけとして、阿倍野の名前を残したい」と出場を決めたという。「自信は全く無かったが、日々の接客をすることが自分らしさを表現できると思い接客した。(入賞は)日々の自信になった」と手応えをうかがわせた。同じグループブランドである「MOUZZY」から優勝者が出たことに「悔しかったが、ブランドコンセプトや世界観が伝わってきてすごいと思った」と称えた。
同施設の新人販売員講習で講師を務めている演技学校を運営するドリームシーズの梶原涼晴(りょうせい)さんを審査委員長に、10代の女子をターゲットにしたフェス「超十代」チーフプロデューサー、平藤真治さんなど9組が審査員を務めた。入店しやすい雰囲気・たたずまいかを見る「第ゼロ印象」、提案力、その人から購入したいかなど6項目(各5点満点)で審査し、各審査員が採点した点数の最低点と最高点を除いた点数、来店客役の役者からの加点(最大3点)の合算で順位を決めた。
再開発で渋谷の街が大きく変わる中、109エンタテインメントの木村知郎社長は「進化してもっと存在感を出して、独自性を発揮していかないといけない。その中で、109にとって最も大切な財産は働いている皆さん。109に来ないと体験できないこと、皆さんから買いたい、サービスを受けたい、そう思える109にしていかないといけない」と話した。来春に109のロゴを変えることやMAGNETの改装が進むことに触れ、「これからの109を作るのは皆さん。力を合わせて進んでいきたい」と呼び掛けた。