東急電鉄は来年9月をめどに鉄道事業を分社化する。新たに100%出資会社を設立し、不動産や百貨店事業など事業特性に合わせ経営体制を再編し、多様化する消費者の需要や環境変化に対応する。
同社はこれまで、事業の核に位置付ける交通、不動産、生活サービスをはじめ、ホテル・リゾート事業などを各子会社を通じて展開。今後の持続的成長や事業拡大を見据え、事業持株会社で不動産保有や開発などのグループ経営を担い、子会社ごとに事業経営を進める「機能別」の再編を図る。
会社分割で設立する100%出資会社が鉄道事業を承継する吸収分割方式で事業を分社化。人材・技術力の強化や沿線の価値向上につなげる。渋谷駅周辺で進める大規模再開発など鉄道以外の事業でも、特性に合わせ「最適」な経営体制の構築を目指すという。
10月1日付けで「サステナブル戦略推進委員会」を新設し、今後の経営体制構築に向け業務組織を改正する。会見で藤原裕久常務執行役員は純粋持株会社(ホールディングス)への移行を否定。「すでに分社をしてスタートしている事業もある。交通事業など、それぞれの事業特性に合わせ働き方を整える」と、雇用形態の見直しやスピード感を持った変化に対応するための事業整備を強調した。
今月13日には、渋谷駅南エリアで東横線旧渋谷駅ホーム・線路跡地などを活用した複合施設「渋谷ストリーム」「渋谷ブリッジ」を開業するほか、今後も旧東横線渋谷駅跡の「渋谷スクランブルスクエア東棟」(来年度開業)などの開発が続く同社。今年3月に発表した中期3カ年(2018年度~2020年度)経営計画で、100年に1度といわれる再開発を通じ「世界のSHIBUYAへ」を追求することを重点施策の一つとして挙げ、「渋谷駅中期計画が順調にローンチした」として、「次の10年、100年」に向けた経営体制の再編に踏み切る。
来年5月以降に社名変更などの詳細を発表し、9月の分社化を目指す。