企画展「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」が現在、山種美術館(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)で開催されている。
同館が所蔵する作品の中から、江戸時代の浮世絵から近・現代の日本画まで「水」が描かれた作品を紹介する同展。
場内は、さまざまな「水の姿」を描いた作品を集積する「波と水面のイメージ」、滝を主題とした作品に注目した「滝のダイナミズム」、水に関する自然現象である雨を描いた作品をそろえる「雨の情景」の3章で構成する。
第1章では、東山魁夷(かいい)が川端康成に勧められ描いたという京都の作品で、修学院離宮の浴龍池(よくりゅうち)を望む景色を描いた「緑潤う」(1976年)、うちわを手に緑台に座り足を水につけている女性を描き、中国の南宗画に由来する画風「南画(なんが)」を思わせる水野表現をしている「河風」(小林古径、1915年)、紅葉の樹林の合間を渓流が流れている青森・奥入瀬を描いた縦2メートル弱×横5メートルを超す大作「奥入瀬(秋)」(奥田元宋(げんそう)、1983年)、鳴門海峡の渦潮を描いた「鳴門」(川端龍子、1929年)などが並ぶ。橋本関雪の「生々流転(せいせいるてん)」(1944年)は6曲2双の大作で、墨や金泥などで波を表現している。
「滝」を描いた作品は、絵の具を上から下に垂らして描いている千住博さんの「ウォーターフォール」(1995年)、墨と金箔(ぱく)を使った横山操の「滝」(1961年)など。最終章では、夕立が降る中で橋を行き交う人たちを描いた歌川広重(初代)の「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」(1857年)、奥村土牛(とぎゅう)が麻布・谷町(現六本木一丁目付近)の丘から赤坂付近を描いた作品で、顔料「胡粉(ごふん)」で雨を一本一本描いている「雨趣(うしゅ)」(1928年)などを紹介する。
館内の「Cafe椿」では、老舗菓子店「菓匠 菊家」(港区南青山5)が展示作品をイメージして作ったオリジナル和菓子を提供するほか、ミュージアムショップでは、出品作品のはがき(108円)やマグカップ(1,944円)などのオリジナルグッズを販売する。
開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は、一般=1,000円、大学・高校生=800円、中学生以下無料ほか。9月6日まで。