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戦中に一度は失われた「ハチ公像」 再建から70年目、復興と平和の象徴

待ち合わせスポット、観光名所としてにぎわう「忠犬ハチ公像」

待ち合わせスポット、観光名所としてにぎわう「忠犬ハチ公像」

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 終戦の日となる8月15日、渋谷駅ハチ公前広場に設置された「忠犬ハチ公像(2代目)」が建立から70年目を迎えた。

「ハチ公」に詳しい学芸員・松井さんとハチ公像

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 今では国内外から多くの観光客が集まる、東京を代表する観光名所の一つとして知られる同像。「渋谷駅前で亡き主人の帰りを毎日待ち続けた」という美談は度々、映画化・ドラマ化されるなど「ハチ公物語」として世の中に広く知られているが、「忠犬ハチ公像」は戦争とも関係がある。

 1932(昭和7)年の新聞記事をきっかけに、もの悲しげな老犬ハチの姿が多くの人々に感動を与え、全国から銅像建立に向けた寄付金が寄せられる。1934(昭和9)年、渋谷駅前に忠犬ハチ公像が建立され、除幕式には歩けないほど多くの人々が祝福に集まったという。当時存命だったハチも出席した。

 1944(昭和19)年、日中戦争から太平洋戦争の戦況悪化に伴う金属回収運動の高まりから、駅前の目立つ場所にあった「忠犬ハチ公像」も惜しまれながら供出。浜松工場で溶解され、機関車などの部品になったといわれている。戦後から3年を経た1948(昭和23)年8月15日、戦後復興のシンボルとして「忠犬ハチ公像(2代目)」が再建された。2代目ハチ公像を手掛けたのは、初代を制作した彫刻家・安藤照の長男である士(たけし)さん。東京大空襲で父・照さんとハチ公像の原形を失ったため、初代ハチ像のイメージを継承しながらも、士さんならではの「2代目ハチ公像」を完成させた。

 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館の学芸員・松井圭太さんによれば、「再建とは言え、戦後間もなくで銅が不足していたため、空襲のがれきの中で見つけた父・照さんの代表作である立像『大空に』を溶かして、ハチ公銅像を制作した」という。「復興と平和」の願いを込めた「忠犬ハチ公像(2代目)」は親子2代にわたる合作といえる。

 再建70年の節目を迎えて、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4)で現在、企画展「ハチ公とハチ公像」が開催されている。企画を担当した松井さんは「今回の展示は、ハチ公の生涯を振り返るとともに、ハチ公の生みの親と呼ばれる『斉藤弘吉』のことや、もう一人の飼い主である『坂野八重子』など、あまり知られていないハチ公物語の外側にいる人にも光を当てている。今まで誤解されているところもあるので、改めてしっかりと紹介したい」と来館を呼び掛ける。

 開館時間は11時~17時。入館料は、一般=100円、小中学生=50円。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。10月8日まで。

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