ストリートアート映画セレクト企画「シブヤ シネマティック・グラフィティ(シネグラ)vol.1」が7月28日、渋谷の映画館「シネクイント」(渋谷区宇田川町)を中心に始まる。
パルコ(神泉町)が新たに企画した上映イベント。「カルチャーの発信地」である渋谷の劇場で、同社が配給などで携わった作品の中から、次世代に向けストリートカルチャーの映画を名作・新作・話題作などを織り交ぜながら提案する。第1弾となる今回は4作品をラインアップする。
オープニングを飾るのは、英ストリートアーティストBANKSY(バンクシー)さんが監督したドキュメンタリー映画「EXIT THROUGH THE GIFT SHOP」。バンクシーさんのドキュメンタリーを撮影しようとした男性をアーティストに仕立て、その活動をバンクシーさん自らが監督として記録していくという一風変わったドキュメンタリー。アート業界の裏側を皮肉るような内容が話題を呼び、第83回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた。観賞料は1,000円。8月3日まで。
8月4日からヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷1)で上映するのは、バンクシーさんのアートが世界の人々にもたらす影響力に迫るドキュメンタリー「バンクシーを盗んだ男」(マルコ・プロゼルピオ監督)。観光の活性化を目的にパレスチナとイスラエルを分断する巨大な壁にバンクシーさんらがグラフィティアートを描くが、怒った地元住民が壁面の一部を切り取ってオークションへとかけてしまう。プロゼルピオ監督は取材を基に壁画の足跡を追う。
9月15日からは、ヒップホップ映画「ワイルド・スタイル」(チャーリー・エーハン監督)をレイトショー上映する。1982年の米NYのサウス・ブロンクスを舞台に、1人のグラフィティアーティストを描く。1983年に公開され、米ヒップホップグループ「パブリック・エナミー」や米音楽ユニット「ビースティ・ボーイズ」は「影響を受けた映画」と公言している作品でもある。
同月11日からは、米画家ジャン=ミシェル・バスキア主演作「DOWNTOWN81」(エド・ベルトグリオ監督)を限定上映予定。バスキアはアンディ・ウォーホルに認められスターの座に上り詰め日本でも個展を開くなど活躍したが、1988年に27歳の若さで亡くなっている。同作は1981年の米NYを舞台に、バスキアがミュージシャンたちと交流する映像とフィクションが融合した作品。同年撮影を終えたが、その後フィルムが行方不明となり1998年に発見され、2000年に完成した。