ダム問題に揺れる小さな里山の暮らしを描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」がユーロスペース(渋谷区円山町)で上映されている。
長崎県川棚(かわたな)町こうばる地区で1962(昭和37)年、治水・利水を目的に「石木ダム」計画が持ち上がった。それから半世紀余り。同じ地域に暮らしていた人々の一部は説得され、補償金をもらって地域から去るなどして、今残っているのは13世帯 54 人。住民の結束は固く、ダム建設のための工事車両を入れさせまいと、毎朝、おばちゃんたちがバリケード前で座り込みを行っている。作品では、ホタルが舞う美しい里山風景や普段の何気ない日常、ダム建設と闘う住民らの姿を記録している。
監督は「社会の広告社」社長でソーシャル・クリエーティブディレクターの山田英治さん。大手広告代理店でCMプランナーだった山田さんは3.11をきっかけに個人でNPO を立ち上げた矢先に現地を訪れ、帰りの飛行機の中で映画化を決意。現地に2 年間通って作品を完成させた。現地に山田監督を誘った辻井隆行パタゴニア日本支社長が同作のプロデューサーを務める。
ユーロスペースでの上映は現在、10時からの1回。上映後には連日、ゲストと山田監督によるトークが行われており、これまでに加藤登紀子さん、嘉田由紀子元滋賀県知事、津田大介さん、いとうせいこうさんらが登壇した。今後は、ロバート・ハリスさん(14日)、堀潤さん(16日)、アーサー・ビナードさん(22日)、東小雪さん(24日)、山田正彦元農水大臣(25日)らが登壇を予定している。
上映は8月3日までを予定。