民泊のルールを定める「住宅宿泊事業法」(以下、民泊新法)が6月15日に施行され、渋谷区では14日時点で106件の届け出があった。
民泊新法は、Airbnb(エアビーアンドビー)やHomeAway(ホームアウェイ)など民泊サービス大手の日本進出などに伴い増加する民泊の安全や衛生面の確保、近隣トラブル防止などを目的に、昨年6月に成立。住宅宿泊事業者や仲介業者などの自治体への届け出をはじめ、営業日を年間180日までとし、騒音防止のための説明や苦情への対応、宿泊者名簿の作成などを義務付ける。
観光庁によると、23区内の届け出件数(今月8日時点)は、1位が新宿区(106件)で、渋谷区は90件で新宿区に次ぎ2番目に多かった。3位以下の届け出件数は、3位=台東区(87件)、4位=豊島区(72件)、5位=墨田区(70件)、6位=中野区(56件)、7位=港区(51件)、8位=世田谷区(50件)、9位=杉並区(45件)、10位=板橋区(32件)。
渋谷区では届け出の受け付けを開始した今年3月に専用のコールセンター(TEL 03-3463-3179)を開設し、事業者からの問い合わせや周辺住民からの相談に対応。事業者向けに記載例や提出書類用のチェック項目などを記した案内書を用意し、無届け営業を罰する新法施行に当たりスムーズな届け出を促している。
周辺に住む子どもに配慮し営業日を一部制限する文教地区と住居専用地域では、区独自の特例も設けた。児童の安心・安全などの配慮から、夏季や冬季などの長期休暇期間中(年間63日)の営業を禁じる制限区域で、届け出住宅周辺の地図提出や町会・地域団体への加入などの要項を満たした事業者には、特例で制限を解く。
区生活衛生課環の豊田理香課長は「制限区域の中でもまちぐるみで外国人と交流している地域や民泊での交流を生きがいにしている年配の方もいる」と、地域活性化につながっている例もあるとし、国際交流を図ることで観光産業の活性化も視野に入れているという。
旅館業法の一部改正では民泊新法と並び、ホテル営業と旅館営業の営業種別を統合し旅館・ホテル営業とする法律も同時に施行。区は、「ラブホテル建築規制条例」の一部を改正し、ダブルベッドを備えた客室数の総客室数における割合を5分の1以下とするなどの定義を削除した。