渋谷駅ハチ公前広場に6月16日、バングラデシュなどの難民キャンプで実際に使われている家族用テントが一日限定で設営される。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と国連UNHCR協会が6月20日の「世界難民の日」に合わせて開くイベント「ソーシャル・アクションin渋谷」の一環。難民が暮らす様子やUNHCRの活動を周知することで、署名や支援を呼び掛ける。テント設営のほか、会場では現地の写真や援助物資も展示し、SNSでのシェア・拡散も目指す。
テントはUNHCRがデザインした5人家族用で、内部の広さは18.5平方メートル。悪天候や風通しなど改良を重ねた最新型で、専門の知識がないキャンプ民も自ら設営できる設計。テント内は2部屋に仕切ることもでき、プライバシーにも配慮している。当日はテントの中も開放し、避難生活を疑似体験できるという。
UNHCR駐日事務所広報の守屋由紀さんは「難民キャンプでは17年~18年間、その場所に住み続けるのが平均的」と現状を明かし、「これまでは世界難民の日に国連大学(渋谷区神宮前5)でシンポジウムを開くなどしてきたが、今回はより裾野を広げたかった。難民の現状を知らない人でも目を引く初の試み」とテント設営の意図を説明する。
会場では、避難生活で使う生活用品や、フォトグラファー内藤順司さんがバングラデシュで撮影したロヒンギャ難民の写真も展示。ユニクロがリサイクル活動で回収した衣類を送る際に実際に圧縮した形の物資の現物も紹介する(雨天時中止)。
「#難民とともに」キャンペーンとして、今年9月の国連総会で採択を目指す難民保護の国際的行動計画「難民に関するグローバル・コンパクト」への署名も募り、会場で署名した人にはUNHCRのリストバンド(非売品)を進呈する。キャンペーンにはシダックス(神南1)も協賛し、16日~20日の間に集まった署名1件につき、栄養不良の難民の子どもに提供する栄養補助食品1パック分に相当する50円を、UNHCRに寄付する。
同4日にはダーク・ヘベカーUNHCR駐日代表と星野守・国連UNHCR協会事務局長が長谷部健渋谷区長を表敬訪問。長谷部区長も署名に協力した。区が後援し、イベント当日はハチ公像にもUNHCRの青いたすきが掛けられる。
守屋さんは「これまでにないとっぴな企画。一人でも多く『自分事』にしていただく機会になれば」と参加を呼び掛ける。
開催時間は10時~19時。