東京メトロ銀座線渋谷駅付近で5月3日、線路の切り替え工事が始まった。
1938(昭和13)年に開業して以降大規模な改修はしていなかった同駅は、「幅の狭いホーム」「分かりにくい通路」「上下の移動が多い構造かつほとんどが階段」であることや、トイレがない駅などの課題を抱えている。
そのため、現在行われている渋谷駅周辺の再開発「渋谷駅街区基盤整備」に合わせてリニューアルを進めている。計画では、現在東急百貨店・東横店3階に位置するホームを、渋谷駅東口広場や明治通りの上に当たる表参道駅方向へ約130メートル移設し、現在の相対式ホームから1面2線の島式ホームに変更。ホーム幅は従来の約1.7倍に拡幅して混雑緩和を図るほかホームドアも設置する。
2016年11月には同線の一部を4日間運休し、線路を約3.5メートル南側に移設する工事を行った。同線は通勤での利用が多いことから、今回は「影響の少ない」ゴールデンウイークに合わせ実施を決めた。2回目となる線路の移設は、渋谷駅の新しいホームを築造するスペースを確保するためで、渋谷方面行きの線路を最大3.8メートル、浅草方面行きの線路を最大4.6メートル移設する工事を行っている。工事区間は、同駅手前から宮益坂上交差点付近(地下)までの約415メートル。60トン以上の大型クレーン10基などを使い、土木工事関係で約1000人、軌道関係で約750人のほか、電気工事関係の作業員が工事に携わるという。
運休は、5月3日~5日の始発から終電まで。渋谷駅では銀座線の改札に通じる通路などで、係員が看板を持つなどして誘導に当たっている。併せて3日・4日の6時~15時には、明治通り外回りの車線規制も行っている。
工事期間中は、渋谷駅~表参道駅間と青山一丁目駅~溜池山王駅間を終日運休し、表参道駅~青山一丁目駅間、溜池山王駅~浅草駅間それぞれで折り返し運転をしている。それに伴い、東京メトロやJR山手線全線、東急東横線渋谷駅~田園調布駅などで終日振替輸送を行っている。半蔵門線では、銀座線始発列車利用者のため半蔵門発押上行き始発列車を渋谷発押上行きとして運転し、銀座線終発列車利用者のため表参道発渋谷行き列車を運転している。
今回設置するレールは仮設で、今後2回の切り替え工事を予定。2019年度下期には渋谷方面行の線路を南側に移設するとともに新ホームに着工、供用開始。その後、浅草方面行きの線路を北側に移設するとともにホームの幅員を拡幅。2022年に完成予定。総工費は約290億円。