Bunkamuraシアターコクーン(渋谷区道玄坂2)で5月、歌舞伎「切られの与三(よさ)」が上演される。
同所で公演する「渋谷・コクーン歌舞伎」第16弾となる同公演。1994年、18代目中村勘三郎(当時・勘九郎)と当時同劇場の芸術監督を務めていた演出家の串田和美さんが立ち上げた公演で、古典歌舞伎を「新たな読み直し」「新しい解釈による演出」で上演するスタイルが特徴の同劇場の看板公演となっている。
今回は、歌舞伎作者・瀬川如皐(じょこう)が書いた与三郎とお富が別れと再会を繰り返す江戸世話物(庶民の生活を題材にした演目)の「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」を基にする。
同作を「随分前からやりたいと思っていた」という串田さん。原作は「長すぎて、初演からずっと書いた通りにやったことが一回もない。もうそろそろ新しいものがあってもいいのでは」と同作に決まった経緯を説明。今回は、これまで上演されたことが無い場面も上演するという。
与三郎を演じる中村七之助さんはコクーン歌舞伎を「父が残してくれた宝物の一つ」と表現。普段は女形として活躍しているが同作では立役(=男役)として出演するため「手探りで不慣れな状況」としながらも、「私なりの与三郎を演じることができたら」と意欲を見せる。
お富を演じる中村梅枝(ばいし)さんはコクーン歌舞伎初出演で「不安とワクワクといろいろな感情が入り混じっている」と心境を吐露。お富を演じるのは2回目となるが、現段階では「出てくる度に違う女性像。一言で言えば『性悪な女』な役作りにしようかと思っている」と話す。女形の先輩でもある七之助さんに「教えを頂き、兄さん(=七之助さん)にはない僕の良いところをうまく出していければ」とも。
公演期間は5月9日~31日。鑑賞料は、1等席=1万3,500円、2等席=8,000円、3等席=4,000円。