建て替え前の渋谷パルコ内で営業していた映画館「シネクイント」が7月、復活する。経営はパルコ(渋谷区神泉町)。
1981(昭和56)年に旧渋谷パルコ・パート3にオープンした多目的ホール「スペースパート3」を前身に、1999年にミニシアターとしてオープンした「シネクイント」。34週にわたるロングラン上映となった「バッファロー'66」(ヴィンセント・ギャロ監督、1998年)を皮切りに、「バットマン」シリーズで知られるクリストファー・ノーラン監督作「メメント」(2000年)、嶽本(たけもと)野ばらさんの同名小説を元にした「下妻物語」(中島哲也監督、2004年)などを上映。2016年に渋谷パルコの建て替えに伴い休館していた。
約2年ぶりの「復活」となる今回。場所は渋谷ロフト隣の映画館「渋谷シネパレス」(宇田川町)跡。2スクリーンで、席数は計279席(163席、116席)を予定し、ペアシートを導入するという。既存の物も活用するが、一部内装や設備はリニューアルするという。
オープニング作品は、2012年に公開された「最強のふたり」を手掛けた監督・製作陣が手掛ける仏映画で、ベテランのウエディングプランナーを主人公に、準備から夜が明けて終わるまでの結婚式の一日をスタッフたちの目線で「ユーモアを詰め込んで」描いたエンタメ作品「セラヴィ!」(エリック・トレダノ監督、オリヴィエ・ナカシュ監督)と、実際にあった29歳の女子現テニス世界チャンピオンと55歳の男子元世界チャンピオンの戦いを元にした「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督)を予定する。
三葉興業(新宿区)が手掛ける「渋谷シネパレス」は1948(昭和23)年、日活製作・配給の青春映画を上映する「渋谷パレス座」として開館し、独自のプログラムで旧作映画をリバイバル上映する名画座として広く知られた。1992年に複合ビル「渋谷三葉ビル」を建設し、同ビル7階に「渋谷シネパレス」として再オープン。2003年には2スクリーンにリニューアル、2009年にはデジタルシネマシステムを導入していた。
同館の興行収入作品上位は以下の通り。1位=カンヌ国際映画祭やアカデミー賞などを受賞している「ライフ・イズ・ビューティフル」(ロベルト・ベニーニ監督、1999年)、動員5万2616人、興収7,995万1,300円、2位=同名テレビドラマの劇場版「NIGHT HEAD」(飯田譲治監督、1994年)、同4万5399人、同6,928万3,500円、3位=北野武監督初の時代劇となった「座頭市」(2003年)、同4万4347人、同6,303万1,900円、4位=シリーズ4作目となった「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」(ロブ・マーシャル監督、2011年)、同2万8415人、同5,366万6,500円、5位=「武士の一分」(山田洋次監督、2006年)、同3万9592人、同4,984万900円。
渋谷シネパレスの閉館は5月27日、新・シネクイントのオープンは7月6日。