サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が3月18日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)でシーホース三河(同、三河)と戦った。観客数は3369人。
「勝ちたい」――試合後にベンドラメ礼生選手が口にした一言がチームの思いを表している。SR渋谷はその1勝から遠のいている。ただ、勝久ジェフリーヘッドコーチ(HC)がここ数試合繰り返している「正しいことをやり続ければ必ず自分たちに流れが来る」という言葉を元に、SR渋谷が目指す「ディフェンス(DF)から流れを作る」バスケを取り戻しつつある。
中地区1位を独走する三河との2戦目となったこの日、SR渋谷は最終クオーター(Q)残り6分強で55対73の場面から怒とうの追い上げを見せた。広瀬健太選手がインサイドに飛び込み決めたシュートを皮切りに、チームの軸であるハードなDFで得点力のある三河を抑え、リバウンドやスチール(攻撃中の相手からボールを奪うプレー)、ベンドラメ選手がルーズボールに飛び込みつくったチャンスなどから得点を重ね3点差まで詰め寄った。しかし逆転には至らず77対81でタイムオーバーとなった。
勝久HCは「追い上げを見せたのはポジティブ。間違った方向にはいっていない」と手応えをうかがわせる。連敗が続いている時こそ「チームとして疑わず信じ続けてやることが大事」と満原優樹選手も言う。ベンドラメ選手は「勢いはあったし、いける雰囲気はあった。良くなってきているが(何が足りないのか)…正直分からない。信じてやり続けるしかない」と複雑な心境を吐露する。
その中でも、この日は「打ち切って決めてやろうと思っていた」という伊藤駿(たかし)選手のジャンパーで先制。ベンドラメ選手は「久しぶりにうちが先制点を取った。細かいところだが(こういうところから)少しずつ良くなっていったら」と期待を込める。第3クオーター(Q)には、前節の対アルバルク東京戦では2点差まで追い付きながらも同点までいけなかったが、この日は同点に追い付き、つかの間ではあったがリードを奪った。その場面については「次はリードを保ち、差を広げるところ」とも。
一方で明確な課題として挙がるのは得点力。DFとのズレを作りフリーでシュートを打つシーンが増えてきたが、この日はフィールドゴールが41%で、三河より約10%低かった。選手たちも「決めきる力をつけないと」「自分が決めれば」と口をそろえる。
SR渋谷は22勝22敗で東地区5位に沈んでいる。チャンピオンシップに向け最低でも同地区4位に入りワイルドカードのチャンスを得なくてはいけない。現在同地区4位の栃木ブレックス(栃木、24勝20敗)と6位のレバンガ北海道(北海道、22勝22敗)との戦いはまだ残っている。ベンドラメ選手は「直接対決が残っているのが良かった。勝てば何とかなる。勝ってまずはワイルドカード圏内に入りたい」と意気込む。
SR渋谷はけが人が相次ぎ出場できる選手が8人だった状況で10連勝を挙げる底力を持っている。明るい選手が多く、ベンチからの声も出ていてチームの雰囲気も悪くない。だからこそ「結果が出るか出ないかはすごく大きい」と満原選手。「もう一つという試合が何回かある。勝てる証明はできている。もうワンランク上がるだけなので結果に結び付けば」と話す。ベンドラメ選手も「今一番チームが求めていることは1勝。勝てば勢いに乗るチームだと思うし、これからの十何試合に響くと思うので、皆でその1勝を取りに行きたい」とも。
SR渋谷は新潟アルビレックスBB、北海道とのアウェーで戦った後、3月30日・31日に栃木とホーム戦(会場は墨田区総合体育館)を行う。