渋谷・宇田川町のミニシアター「アップリンク」(渋谷区宇田川町)で3月17日、米俳優ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作となった映画「ラッキー」が公開される。
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したロードムービー「パリ、テキサス」(ヴィム・ヴェンダース監督、1984年)をはじめ、「エイリアン」(リドリー・スコット監督、1979年)、テレビドラマシリーズ「ツインピークス」などに出演し、昨年9月に亡くなったスタントンが主演を務めた同作。
俳優であるジョン・キャロル・リンチさんが初めて監督した作品で、スタントンの体験・人生に基づいたエピソードで、人生の終わりについて描いた。アパートで独り暮らしをする「自由で堅物な一匹狼」90歳のラッキーが、身体の衰えと共に人生の終わりが近づいていることを思い知らされ「死」について考え、向き合い、答えを見いだしていく物語。
リンチ監督は「この映画を老いや、人生の終盤を生きることをテーマにした映画にはしたくなかった。過去を振り返ってかつての恋人にわびたり、過ちを正したりするようなね。一人の男が自分を見つめ、神や天国という『第二幕』といった安心材料なしで生きる姿を描きたかった」とコメントを寄せている。ハリーの人生はまさにそうだった」とコメントを寄せる。
ラッキーの友人役として、実際にスタントンの友人である映画監督のデヴィッド・リンチさんが出演していることについては、「デヴィッドは脚本を気に入ってくれたし、デヴィッドしかありえないぐらいのはまり役であることを理解してくれた。出演を快諾してくれたのは、ハリーへの敬意からだと思う。デヴィッドはハリーが大好きだったから」とも。
公開を記念し、同館1階のギャラリーでは、イラストレーター高松啓二さんが同作のポスタービジュアルなどをイラストやペーパークラフトで作った作品約20点を展示する。今月26日まで。