東急不動産が3月7日、本社を置いていた新南平台東急ビル(渋谷区道玄坂1)などを建て替えるプロジェクト「(仮称)南平台プロジェクト」にIoT(Internet of Things=モノのインターネット)を活用することを発表した。事業主は、同社と地権者で組成した一般社団法人道玄坂121。
2015年に本格始動した同プロジェクトは、新南平台東急ビル(1974年竣工、地下2階~地上9階)、南平台東急ビル(1958年竣工、地下1階~地上10階)、渋谷TODビル(1989年竣工、地下1階~地上10階)、広井ビル(1974年竣工、地下1階~地上7階)4棟を大規模なオフィスビル1棟に建て替えるもの。敷地面積は4129.33平方メートルで、地下1階・地上21階の22フロア。延べ床面積は46954平方メートル。最高高さは約107メートルを予定。
かつて「ビットバレー」と呼ばれていた渋谷。現在でもスタートアップやベンチャーなどの企業が多くオフィスを構えているが、東急東横線旧渋谷駅ホーム・線路跡地を活用した施設「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」(渋谷区渋谷3)にグーグル(港区)、東急東横線旧渋谷駅跡に建設中の高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」(渋谷2)にミクシィ(東1)、渋谷駅西口エリアで進む「道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(道玄坂1)にGMOインターネットグループ(桜丘町)が移転・増床するなど、再開発ビルにクリエーティブ産業の企業の入居が決まっている。
同プロジェクトの3階~20階に予定するオフィス区画にIoTを活用したソフトサービスを導入することで、「多様なワークスタイルなサポート」を図る。例えば、温度センサーで自席周辺の温度確認や変更をスマートフォンやPCで設定できるようにしたり、扉の開閉センサーでトイレの個室利用状況をリアルタイムで確認できたりする。フロア内にビーコン(電波受発信器)を設置することで、社員の位置情報も可視化できるようになる。エントランスでは、来館者情報を事前登録しQRコードを発行することで、セキュリティーを保ちつつ館内受け付けがスムーズになるという。
そのほか、各階にはテナント専用のテラスを作り、21階には屋上空間を活用したラウンジや庭園の設置を計画する。
同ビルには、家具付きの個室と供用ラウンジを組み合わせた東急不動産が展開する会員制サテライトオフィス「ビジネスエアポート」、最大約100人を収容する貸し会議室も併設するほか、店舗や駐車場も設ける。緑化に加え複層ガラスを採用するなど環境にも配慮するほか、太陽光発電パネルの設置や雨水利用など自然エネルギーも利用。非常用発電機の設置や上水の備蓄など帰宅困難者の支援や、エントランスホールなどでの帰宅困難者の受け入れも予定している。
2019年3月完工予定。