渋谷駅東口地下で進む雨水貯留槽や広場の工事現場が3月7日、報道陣に公開された。
駅周辺を中心に再開発(渋谷駅街区土地区画整理)事業が進められている渋谷。その中核となる「渋谷スクランブルスクエア」東棟の建設工事と並行して、駅東口エリアの地上(広場やバスターミナル)と地下(広場や雨水貯留槽)でも整備が進められている。
宮益坂中央改札近くに位置する東口地下広場(地下1階~2階レベル)は、JR線や東京メトロ銀座線など地上にある駅と、東急東横線や東京メトロ副都心線など地下にある駅を結ぶ空間で、乗り換え時の歩行者ネットワークにもなる。延べ床面積は2フロア計約1600平方メートルで、最高天井高は約6メートル。
現在、地下2階はコンクリートで覆われた空間に仕上がっており、天井の一角には自然光を取り入れるための吹き抜けを造った。地下1階では、同所の地上にかつて立っていた東急東横店旧東館の土台となっていたコンクリートを取り壊す作業が行われている。
地下広場の整備に向け、地下を流れる渋谷川約160メートルを東(明治通り)側に移設する工事も行った。幅は約10メートルで計画流量は1秒で95トン。地上と同広場の間となる1階床面から3~4メートル下を流れていることから広場の天井の一部には水路が通っており、その部分の天井高は少し低くなっている。河川の上に建築物は建てられないため、同所を流れる区間など渋谷川の約250メートルを河川から下水に変更している。
2020年の東京五輪・パラリンピック前に供用開始予定で、地上の広場を含め同所は都道だが、完成後は渋谷区に移管される。
雨水貯留槽は、駅周辺がすり鉢状の地形であるため豪雨時などに駅方向に雨水が流れ冠水することもあったことから整備を進めているもの。最深部は地上から約25メートルで、面積は平面が約20メートル×約45メートル、天井高は約7メートル。最大貯留量は約4000トン(25メートルプール×5レーン8個相当)。
1時間に50ミリ~75ミリの雨が降った場合に雨水のストックヤードとして使われる。集水エリアは宮益坂や青山通り周辺で、宮益坂下交差点周辺を中心にある取水ポイント6カ所から水が流れ込む。貯水槽内はいくつかの小部屋に分かれており、異なる高さの壁で区切ることで降水量によって水がたまる小部屋を使い分けられるようにし、使用後の掃除範囲を狭める工夫も施す。雨水は雨が上がった後にポンプでくみ出して下水に排水する。貯留槽も東京五輪・パラリンピック前に完成予定。完成後は東京都下水道局が管理する。
東口ではほかにも、地下2階から地上3階までをエスカレーターやエレベーターで縦につなぐ「アーバンコア」や、地上東口駅前バスターミナルの再配置するほか、国道246号線に架かる歩行者デッキの拡幅などの整備も予定している。その後、ハチ公前広場の拡充やタクシー乗降場の地下化など西口エリアの整備も控えている。2027年度に終了予定で総事業費は577億円。