表参道のカフェ「hanami」(渋谷区神宮前5)で2月25日、「未来レストラン いぶき」が一日限定オープンする。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)、広告代理店アサツーディ・ケイ(以下ADK、港区)、環境保全に関する事業などを展開するNPO法人シティ・ウォッチ・スクエア(神奈川県藤沢市)、フードスタイリスト飯島奈美さんら「7days kitchen」(富ヶ谷2)で構成する「地球をみまもるプロジェクト」の第1弾企画となる同イベント。
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」や来年度打ち上げ予定の「いぶき2号(GOSAT-2)」など、地球環境を観測する衛星を運用するJAXAが、衛星の認知向上を目指し、ADKの創立60周年記念CSR活動「ブレーンタル」に応募したことから始動した同プロジェクト。内閣府の世論調査で地球環境問題に対して「関心がある」人が減少傾向にあるとともに、ADKが昨年行ったインターネット調査(全国20~59歳の男女5000人対象)で温暖化には「企業や国が取り組むべき」と答えた人が約75%、「自分ではどうにもならない」と答えた人が約55%いたほか、「どうしていいか分からない」という人も60%弱いたという。
この調査結果から温暖化に対して「傍観」「人ごと感」があるのではと考え、「身近な問題として感じてもらう」ことを目指し食べ物に着目した。地球温暖化がこのまま進んだ場合「こう変わってしまうかもしれない」という食事を提供することで「行動するきっかけとなること」を目指す。
省エネルギー月間であることを意識し2月に展開する同店。宇宙などに「興味が薄い人たちに伝えたい」と、JAXAの施設内ではなく来街者が多い街で出店地を探したという。20~30代など次世代をつくっていく若年層をコアターゲットに据える。
今回、農林水産省や水産庁、大学、研究機関などの調査報告や研究成果にある食材への影響を反映させた創作料理を考案した。二酸化炭素濃度の上昇で下がるかもしれない小麦の栄養価を補うためスーパーフード「スピルリナ」を使う青色のパスタ、収穫量が減り高騰化する可能性がある小麦に代えてだし汁のゼリーでタコを包むたこ焼き、温暖化で海水の温度が上昇し魚介類やノリが捕れにくくなり人工イクラや南国のフルーツをネタにするすし、動物が「夏バテ」し乳製品が貴重になった場合メインがカラメルになるプリンなど5品。プレートにして限定50食を無料提供する。レシピは同イベントホームページで公開している。
JAXA第一宇宙技術部門「GOSAT-2」プロジェクトチームの研究開発員・安部眞史さんは「なかなか温暖化について考えることはないと思うが、温暖化が進んだらどうなるかという体験が身近に感じて考えるきっかけになれば」と期待を込める。何をしたらいいか分からないという人には「友達と話したり食材の廃棄を減らしたりすることでもいい」とも。
営業時間は11時~18時。試食は11時~12時=25人、13時~14時=25人(当日8時から整理券配布)。15時以降は展示の観覧のみ。