渋谷区とアダストリア(渋谷区渋谷2)が2月9日、「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(通称S-SAP、エス・サップ)」を締結した。
区が2016年4月から推進している同協定は、民間企業や大学などの持つ技術やノウハウを活用しながら、協働で地域社会の課題解決を図る包括連携協定で、これまでにビームスやディー・エヌ・エーなど区内の企業を中心に15社、国学院大学や東海大学など4校と同協定を結んでいる。
アパレルブランドを展開する企業とのエス・サップ締結はビームスに次ぐ2社目。長谷部健渋谷区長はアパレル・ファッション産業を「区の基幹産業」と位置付け、「日本の中心でいられているが、今後は世界に向けてアピールしていきたい。(アダストリアは)ファッションで大きな力を発信している」と今回の協定締結に期待を込める。
昨年7月、移転したLINEに替わる形で渋谷ヒカリエ内に本部を構えた同社。福田三千男(みちお)会長兼CEOは渋谷を「若くおしゃれで活発な街」と位置付け、「ファッションの発信地であることから社員が刺激を受ける」ことと「活用が重要になってくるテクノロジー系の企業が多い」ことを渋谷への本部移転理由として振り返った。
同社は渋谷内に20店舗近くの店舗を展開し、3月には、20~30代の男女をターゲットにしたブランド「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」の大型路面店を渋谷・井の頭通り沿い「COACH(コーチ)」跡(宇田川町)に、表参道エリアに同社初の「大人向け」レディスブランドとなる「Chaos(カオス)」の路面店の出店を予定している。
協働するのは8項目。昨年、衣料品の提供などで参加した洋服のリデザインプロジェクト「コオフク塾inシブヤ」などダイバーシティの実現に関する活動に加え、今回の締結を機に、渋谷区在住の子どもたちを対象に渋谷や原宿の店舗で職場体験学習「キッズショップ店員」などを通した次世代教育、渋谷のライフスタイルを定点的に観測する「SHIBUYA WATCHER」など「シブヤカルチャー」の発信、ファッションビジネスや起業家の育成を行うインキュベーションプログラムの実施を検討しているという。
締結期間は2020年3月31日まで。