渋谷区は2月6日、2018年度の当初予算案を発表した。
2016年10月、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」をキャッチフレーズに基本構想を新たに策定した同区。来年度の当初予算案は、新たな基本構想の実現に向けて策定した長期基本計画、実施計画が全て出そろった中で編成した「事実上初めて」のものになる。財政規模は一般会計前年度比1.2%増の937億6,800万円で、2年連続「過去最高額更新」となった。
長谷部健渋谷区長が来年度の「重点施策」として挙げたのは「子育て支援」。すでに、LINEを活用した子育て支援情報の配信や、食事だけでなく知恵や体験の提供も行う「こどもテーブル」を推進しているが、この日は主に4つの取り組み強化を発表した。
かねて研究してきたフィンランドの子育て支援「ネウボラ」を参考にした「渋谷区版ネウボラ」(予算1億8,350万円)は、妊娠期から18歳までの支援を図る。2021年度には神南分庁舎(渋谷区宇田川町)跡に事業の中核をなす施設「渋谷区版ネウボラセンター(仮称)」を開設し、子育て支援フロア、保健所の検診や相談事業などを受け付ける健康フロア、発達・就学・教育などの相談を受け付ける専門相談フロアで構成する予定という。
来年度はまず、産後ケア事業の充実を図り、平日夜間の小児初期救急診療を始めるなど医療体制を整える。「渋谷区版ネウボラセンター(仮称)」開設に先駆け、2019年度には渋谷区役所仮庁舎(渋谷1)跡で立ち上げ、検診時の子ども家庭支援センター・子ども発達センターなどとの連携対応を強化する。「渋谷区版ネウボラ」体制の一事業にもなるショートステイ事業(予算495万円)では、虐待リスクが高い家庭の子どもなどを区が委託した児童養護施設で短期間(最大14日間)預かり、保護者に助言や支援を行うことで児童相談所に緊急一時保護される子どもを減らしたいという。
待機児童対策には38億4,700万円を計上。来年度は新たに私立保育園7園(定員614人)、認定こども園1園(同108人)を新設する予定で、今年度(4月1日現在)266人だった待機児童者数は約160人に減る見込みで、2021年度には待機児童ゼロを目指す。
昨年、区立小・中学校の全児童・生徒、教職員に1人1台のタブレットを貸し出すICT教育システム「渋谷区モデル」を始めたが、来年度は同事業を本格的に運用するという。予算は8億4,500万円。
区はほかにも、特別養護老人ホームを中心とした複合施設の整備(予算8億9,950万円)、スポーツセンターのリニューアル(同3億1,500万円)、五輪・パラリンピック関連事業(同4,250万円)、防犯カメラの設置(同4,000万円)、民泊に関する条例の制定(同2,380万円)などの政策を発表した。