世界人権デーの12月10日、渋谷で小さいサイズの新聞「Silenced Newspaper」が配布されている。発行は中日新聞・東京新聞などを発行する中日新聞社。
社会的少数者といわれる人たちの言葉を通して「人権について考えるきっかけづくり」として企画。東京新聞では2015年から、「HEART & DESIGN FOR ALL~誰もが暮らしやすい社会の実現へ~」というシリーズ企画で、多様な人たちや取り組みに焦点を当てた記事を掲載している。
今年は、LGBTや障がい、イスラム系少数民族ロヒンギャなど「人権に関するニュースが多かった年だと感じ、広く受け入れられやすい環境になってきているのでは」(中日新聞東京本社広告局広告一部・春田靖浩さん)と同新聞を企画。東京新聞を発行する東京エリアは「情報発信基地であると同時に、(情報が)埋もれやすい街」と考え、興味を喚起するため「小ささ」にフォーカスした。
渋谷は、戸籍上同性カップルに男女の婚姻関係に相当する関係を認める「パートナーシップ証明」を交付していることや、アライ(英語のAlly=同盟・支援者が語源で、性的マイノリティー理解・支援者)の活動に取り組むなど「東京の中でも意識が高い街」と判断し、同エリアでの配布を決めた。
発行部数は5000部。サイズは約8.9センチ×約6.3センチで、通常の新聞の36分の1サイズとなる。見開き8ページで構成し、ドラァグクイーンのミッツ・マングローブさんやFTM(性同一性障害の一種。Female to Maleの略、身体は女性だが性自認が男性)アイドルSECRET GUYZ、ダウン症の若者、シングルマザーなど8組のインタビューを掲載。通常の新聞同様、四コマ漫画や広告も掲載しているほか、新聞と似た素材の紙で印刷した。
同新聞は特設サイトで1年間読めるようにしているが、1000部は希望者に抽選で配送する。現在、同サイト上で申し込みを受け付けている。応募は今月22日まで。
春田さんは「あらゆる世代の方に届けば。自分と違う人がいるという気付きのきっかけになれば」と期待を込める。