サンロッカーズ渋谷(以下SR渋谷)が12月2日、とどろきアリーナ(神奈川県川崎市)で川崎ブレイブサンダース(同川崎)と戦った。観客数は3765人。
前日に続く戦いとなったこの日。最後まで勝負の行方が分からない展開となる中、SR渋谷に勝利を呼び込んだのは昨シーズンの途中から「救世主」となるべく入団した元NBAプレーヤーのロバート・サクレ選手。残り11秒で2点差を追う場面。ドライブ(ドリブルでゴールに攻め込むプレー)を仕掛けたベンドラメ礼生選手からパスを受けたサクレ選手が放った3ポイント(P)シュートがウイニングショットとなった。「決めきる自信があった」というサクレ選手は、インサイドの要ではあるものの今シーズンは3Pを打つ場面も少し見られている。「自主練で打っているので、練習の成果が出た」と振り返った。
序盤はティップオフ直後から気迫のこもったプレーを見せた川崎にリードを許すも、タイムアウトでディフェンスを修正して以降、SR渋谷はスチール(相手の攻撃中にボールを奪うプレー)から得点を重ね24対16で第1クオーター(Q)を終える。第2Qは、清水太志郎選手が連続得点やスチールでチームを引っ張るが、川崎のゾーンディフェンスに得点を決められない時間が続くと1点差に詰め寄られた。
後半序盤は川崎のシュート力が光り、9点差を付けられた時点でSR渋谷はタイムアウトを要求。外角のシュートが多くなっていたことにサクレ選手が「ゴールへアタックしろ」と声を荒げる珍しい光景も見られたが、その言葉を受けたベンドラメ選手が奮起し1点差まで追い上げた。
手に汗握る展開となった最終Q。開始後約2分30秒の間に川崎・辻直人選手の3連続得点で 6点差を付けられるも、サクレ選手の連続得点や清水選手と菊池真人選手の連続3Pで逆転に成功すると、試合はシーソーゲームとなる。3点を追う残り21秒で取ったタイムアウト後、ベンドラメ選手のレイアップシュートで1点差とするも、残り11秒で川崎・辻選手がフリースロー1本を決め点差は2点に。残り3秒、サクレ選手の3Pで逆転し78対77で勝利。試合終了のブザーが鳴ると、ベンチの選手たちも飛び上がってコート上の選手たちの元に駆け寄り、抱き合ったりハイタッチをしたり喜びを爆発させた。SR渋谷は連勝を9に伸ばし、13勝6敗で地区3位となった。
SR渋谷・勝久ジェフリーヘッドコーチ(HC)は「本当に全員で勝ちと取った勝利。戦術というより気持ちを強く持てた」と選手たちをたたえた。「ファンの声援がものすごく心強かった」というよう、会場には、SR渋谷の黄色いTシャツを着た多くのファンが駆け付けていた。
「昨日からシュートタッチが良かった」という清水選手はこの日、3Pを50%、2Pを100%の確率で決め11得点を挙げた。「(広瀬)健太がけがをして控えもいないという中で、(シュートを)打ちに行く役目に回ったのが良い結果につながったのかな」と笑顔を見せた。ベテランの「判断力」を買われ、川崎のエースである辻選手や藤井選手のディフェンスについていた清水選手。「ちょっとでもメンタル的にストレスなどを抱えてくれればいいなと思って、ファールを気にすることなく思いっきりディフェンスした」とも。
前節からプレータイムを伸ばしている菊池選手は、「持ち味」のディフェンスでチームに貢献したことに加えて、この日は今季強化している3Pも決めた。「昨日も今日もディフェンスを離されていても外のシュートを打てなくて、最後に決められて良かった」と振り返る。決まった瞬間、ベンチの選手たちも立ち上がって喜んでいたが「全然見えていなかった(笑い)」という。
川崎・北卓也HCは勝負を決めたサクレ選手の3Pを「打った瞬間は『曲がった、リバウンドかな』と思った。シュートを決めたことが素晴らしい」とたたえた。シュートチェックにいった藤井祐眞選手は「最初に止めるポイントはシュートが入っていたベンドラメやシューター2人だった。優先順位から考えて止めるべきところを止めた中でサクレ選手にボールが回り、ビックショットにつながったのでアンラッキーだったが、決めたサクレ選手をほめるべき」とも。
SR渋谷は次節今月9日・10日、ホーム青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で、同地区2位の強豪・千葉ジェッツふなばしと戦う。チケットは完売している席種がほとんどで、現在販売している席は2階自由席(大人2,400円ほか)のみ。