渋谷区公認のパブリックデータ「シブヤフォント」を使った渋谷土産の試作品が11月13日、発表された。
長谷部健渋谷区長発案の下、渋谷土産の開発を推進している同区。障害者福祉課は区内の福祉作業所とコラボレーションし、福祉作業所でのもの作りを変え工賃向上につなげようと方向性を考える中で、桑沢デザイン研究所(渋谷区神南1)の非常勤講師でモビリティー・デザイナーの磯村歩さん(グラディエ)と出会い、同校の学生も参加する土産開発プロジェクトを企画した。
「シブフォント」は、渋谷区の福祉作業所で働く障がい者が描いた文字や模様を同校の学生がフォント素材としてデザインしパブリックデータ化したもので、昨年度の土産開発プロジェクトの中で生まれた。同プロジェクトでは本年度、シブヤフォントを活用して実際にプロダクトを作る「SHIBUYA To Go」として、6月から渋谷土産のプロトタイプの開発を進めてきた。
今回、グラフィックデザイナーのライラ・カセムさんディレクションの下、区内の福祉作業所7カ所で働く障がい者や支援者、同校の学生らが6チームに分かれ、「渋谷らしさ」としてFabCafe(渋谷区道玄坂1)のデジタルファブリケーション(テクノロジー)を活用して試作品を作った。
商品テーマは「渋谷の街並みを切り取る」。原宿を彩る「色」に着目した「CMY」には「はぁとぴあ原宿」(渋谷区神宮前3)が参加。シアン・マゼンタ・イエローで柄をプリントしたキーチェーン付きのPVトートやコースター、クリアファイルなどをそろえた。「Qutto(キュット)」は、渋谷の通りを書き起こした文字で渋谷駅周辺の地図をデザインしたTシャツやモヤイ像柄のTシャツなどを提案した。
渋谷を「常に変化し続ける街」と位置付け「再構築」をコンセプトにした「reconstruct」は、渋谷駅前のスクランブル交差点の絵などを文字盤にプリントした時計などを企画。「CAMM(カム)」は、「何でもウェルカム」な渋谷のイメージからブランド名を命名したブランドで、ショッピングバッグを両手に持った人やスケートボードを持った人など渋谷にいる人の絵をパターンとしてデザインに取り入れ、食器やランチョンマットを発案した。
区などは今後、シブヤフォントを区内の企業やNPO、デザイナーやクリエーターなどに提案し商品化を目指すほか、区内の福祉作業所でもシブヤフォントを使った自主商品を検討していく予定という。
今回発表されたシブヤフォントは、公式ホームペーシでダウンロード(各500円)できるようにし、売り上げは手数料を除き、障がい者支援施設への支援金として活用する。