渋谷「Bunkamuraオーチャードホール」（渋谷区道玄坂2）で10月6日、バレエ「クレオパトラ」が世界公演初日を迎えた。

舞台序盤「王宮の居間」のシーンより

　バレエダンサー熊川哲也さん率いるKバレエ カンパニーの新作となる同作。芸術監督をはじめ、演出や振り付け、台本を熊川さんが担当したが、原作や音楽が存在しない作品を手掛けるのは初めてという。

　2幕で構成する同公演。舞台は紀元前1世紀、エジプトの首都アレクサンドリア。弟のプトレマイオス13世と結婚し共同で王位に就いていたクレオパトラ。プトレマイオス13世に権力を奪われるも、政治家で軍人のカエサルの協力もあり再び王位を奪還。腹心の裏切りによるカエサルの死、カエサルの部下であったアントニウスとの恋、カエサルの正統後継者であると主張するオクタヴィアヌスとの決戦などをへて、クレオパトラに最期の時が訪れる――。

　開幕を前、熊川さんは「まぁ、大変でした。紀元前の歴史的人物を上演するという大層なことをやってしまった」と、笑いながらもと満足げな表情を浮かべた。ゼロからの創作に挑んだ理由を「バレエを継承して行くためには新しいものに挑戦しなければいけない」と説明。クレオパトラの人物像については「逃れることのできない運命に立ち向かった賢さや美しさを表現できればと考えた。1人の人間なので、そこに情や愛がないといけない。魅了されるべき女性に仕上がったのでは」とも。

　「朝から晩まで働いた。ほめてください」と笑いを誘い、「全てにおいて隅々まで見てほしい自分の潔癖症な性格が表れていると思う。完ぺきとは何かを見せたい」と自信をのぞかせた。

　上映時間は2時間30分（途中休憩含む）。公演期間は、10月9日までと28日・29日。鑑賞料は、S席＝1万6,000円、A席＝1万2,000円、B席＝8,000円、C席＝6,000円。