渋谷区と地域限定型のご近所SNS「マチマチ」を運営するProper(目黒区)は6月15日、同SNSの活用に関する協定を締結した。
昨年3月にサービスを始めた「マチマチ」は、近所に住む人たち同士で、その地域の情報を共有するSNS。昨年6月まで渋谷区限定でテストを行い、現在は都内23区を中心に展開地域を拡大している。
同SNSは、利用者の居住地を「町」単位で登録し、情報を取得する範囲(半径1~6キロ)を設定することで「ご近所」に特化。ユーザーの投稿に加え、地域のイベントやニュースなどを知ることができる。投稿では、近所の病院や新しい店、幼稚園・保育園、習い事などの情報のやり取りが多いという。利用は無料だが実名制で、SMS認証を導入したり投稿を監視したりすることで安全性を確保している。
現在の利用者層は20代後半~40代前半の子育て世代が中心。同社は今後、1都3県を中心とした首都圏での利用者の拡大に注力するとともに、地域との連携を強化したいこともあり区との連携が決まった。今回のスキームは「マチマチfor自治体」初の取り組みで、自治体の利用料は無料。
6 月の第1日曜を「渋谷おとなりサンデーの日」と定めるなど地域コミュニティーの活性化に取り組む同区。「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を結ぶLINE(新宿区)のコミュニケーションアプリ「LINE」を活用して子育てに必要な情報を配信するなど、ネットを活用した情報配信にも注力している。
今回の協定により、渋谷区内の「マチマチ」ユーザーのタイムラインに、居住地域や属性に応じた区の情報やデジタル化した掲示板のポスター画像などを配信。併せて、防犯・防災情報、不審者情報の発信、区民同士の注意喚起などで防犯・防災の強化を図るほか、アンケート機能を使い住民の声を直接聞くこともできるようになるという。
同社はシニア層などを対象に説明会などを開いていくほか、区でも区報で紹介するなど、区民ユーザーの拡大を図っていく。
長谷部健渋谷区長は「町会など地域のコミュニティーが高齢化しておりて、次世代との関わりが減っている。未来の街のあり方として、ネットを使ったコミュニティーは、もっと追求されていくと思う。これまでアプローチできていなかった層へアプローチできるメディア、情報発信ツールになるのでは」と期待を込める。