渋谷・宇田川町のミニシアター「アップリンク」(渋谷区宇田川町)で4月29日から、フォークシンガー高田渡のドキュメンタリー映画「まるでいつもの夜みたいに~高田渡 東京ラストライブ」が上映される。
1949(昭和24)年岐阜県生まれの高田10代前半で兄の影響で音楽を聴き始め、米フォークシンガー、ウディ・ガスリーやピート・シガーに興味を抱く。中学卒業後入社した印刷会社でバンドに入り、18歳で上京後、フォーク団体「アゴラ」を拠点に活動を始め、テレビ番組で楽曲「自衛隊に入ろう」を歌い注目を集めた。1969(昭和44)年にフォークグループ「五つの赤い風船」とのカップリングアルバムでレコードデビュー。1971(昭和46)年にバンド「武蔵野タンポポ団」、1977(昭和52)年に「ヒルトップ・ストリングス・バンド」を結成。2005年に実録映画「タカダワタル的」を公開し、翌年、公演終了後に体調を崩し56歳で亡くなった。
人生最後の単独ライブとなった2005年3月27日の記録映像を中心に構成する同作は、ライブ当日、高田が自宅のアパートから外出する場面から始まる。客席の20人に加えて立ち見客数十人が集まったというこの日のライブ会場は、高円寺の居酒屋「タイフーン」でのギター弾き語りライブだった。劇中には14曲が収められている。
メガホンを取ったのは代島治彦監督。1958(昭和33)年埼玉生まれ。早稲田大学政経学部卒業。1994年9月から2003年4月までミニシアター「BOX東中野」を経営し、1992年に劇映画「パイナップル・ツアーズ」を製作しているほか、香港国際映画祭・上海国際映画祭などに出品し、山形国際ドキュメンタリー映画祭に特別招待された「三里塚に生きる」(2014年)などのドキュメンタリー作品を手掛けている。
ゴールデンウイーク期間中は、上映後にトークイベントも行う。初日の4月29日は、高田渡の長男でミュージシャンの高田漣(れん)さんをゲストに招くほか、「高田渡の一番弟子」として知られるフォークシンガーのなぎら健壱さん、俳優・映画監督・ミュージシャンとして活動する佐野史郎さんらが来場する予定。