南青山のイベント空間「Future SEVEN」（港区南青山6）で3月13日、「第9回CDショップ大賞2017」の授賞式が行われ、宇多田ヒカルさんの「Fantome（ファントーム）」が大賞に輝いた。主催は全日本CDショップ店員組合。

「蝶々結び」を披露したAimerさん

　同賞は全国のCDショップ店員の投票のみで選出される音楽賞で、2008年に設立され今回で9回目を迎える。昨年1年間で発売された邦楽のオリジナルアルバムを対象に、1019人のCDショップ店員による2回の投票で21作品をノミネート作品として選定。入賞 7作品の中から大賞、準大賞を決定した。

　昨年9月に発売された大賞作品「ファントーム」は宇多田さん8年ぶりとなったオリジナル・フルアルバム。選出したショップ店員は「宇多田ヒカルの音楽は唯一無二」「（店頭演奏で）100回以上は繰り返し流したが、それでもまだ飽きなかった」「楽曲のギミックを含め、さすがとうならせる仕掛けが満載」「J-POPの神髄であるメロディーのネクストレベルを見た」などのコメントを寄せている。

　スケジュールの関係で式に参加できなかった宇多田さんは動画で「配信などによる販売も多い中、店に足を運んでもらってCDを手に取ってもらえるということは、アーティストとして本当にうれしい」とコメントを寄せた。

　準大賞に選ばれたのは女性シンガーAimer（エメ）さんの「daydream」。Aimerさんは2011年にメジャーデビューし、翌2012年に発売したアルバム「Sleepless Nights」は2013年の同大賞にノミネートされていた。今作はRADWIMPSの野田洋次郎さんやONE OK ROCKのTakaさんらが参加したことでも注目を集めた。

　式に参加したAimerさんは「CDショップ店員の方々は日々いろいろな音楽に触れて、音楽を愛している方々だと思う。そんな皆さんに『お勧めしたい』と思っていただけたことがアーティストとしてとても光栄」と喜びを表現。「デビュー5周年の作品で、今までの自分のイメージを良い意味で壊すような私にとっても印象的な作品になった」と振り返る。会場ではアルバムに収録した「蝶々（ちょうちょう）結び」を披露した。

　そのほかの入選作品は以下の通り。［Alexandros］の「EXIST!」、D.A.N.の「D.A.N.」、never young beachの「fam fam」、My Hair is Badの「woman’s」、RADWIMPSの「君の名は。」。

　併せて、全国を11ブロックに分け各地域ゆかりのアーティストから選んだ「地方賞」、「洋楽賞」「ライブ作品賞」など7つの部門賞に加え、「特別賞」＝事前告知なして16年ぶりに発売されたHi-STANDARD「ANOTHER STARTING LINE」、「特別功労賞」＝SMAP「SMAP 25 YEARS」が発表された。

　地方賞で東北ブロック賞に選ばれた福島県・宮城県出身の3人組バンド「zero zero z」のボーカル・ギターERIKAさんは、東日本大震災から6年を迎えたことに触れ「まだまだ終わっていない問題もたくさんあるので東北の皆さんを元気づけられるように、これからも良い音楽を全国に世界に届けていきたい」と意欲を見せた。部門賞で「ジャズ賞」を受賞したWONK（ウォンク）のボーカルKento NAGATSUKAさんは「万人受けするような音楽をやっているわけではないバンドが、こうして好評いただけてうれしい」とも。