Bunkamura(渋谷区道玄坂2)ザ・ミュージアムで現在開催中の展覧会「これぞ暁斎!世界が認めたその画力」に、多言語ガイドタブレットが導入されている。
狂言のあらすじや重要なせりふなどを多言語で紹介する実験も行った
東急文化村とNTT東日本(新宿区)が行っている「Japanese Art Festa」の一環で、日本の美術などを外国人客に多言語で体験してもらうことを目的にしたもの。全館に同社のWi-Fiを導入しタブレットも活用している。期間中、館内では同社の無料Wi-Fiを使える。
NTT東日本は2年ほど前から美術館など文化施設のIT化の取り組みをサポートしている。同ミュージアムでは、2015年に開催した「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展で、日本語による作品解説のタブレットを導入していた。訪日外国人の増加に合わせ「多言語化対応」の需要が大きくなったことから、マーケティング・事例作りとして今回の取り組みを企画した。
タブレットは、英語・フランス語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の4カ国語に対応。暁斎のプロフィルや、主要作品20点の解説などをしている。利用無料。
3月2日には、同ミュージアムでのタブレットと、セルリアンタワー能楽堂(桜丘町)で多言語ガイドアプリ「おもてなしガイド」を使った狂言「蝸牛(かぎゅう)」を観覧する体験会も開かれ、外国人約80人をはじめ国内の美術館運営者、キュレーターらなど200人ほどが参加した。
米国出身のジェニファー・ボノオさんは8歳の娘サシャさんと参加。タブレットは「面白かったし、子どもにも分かりやすくて良かった」と好評な様子だったが、「少し解説が長かった」という意見も聞かれた。
展覧会の内容によるが「外国人の来館は一定の数ある」という同ミュージアム。かねてサインや作品リストなどに英語も併記しているが、「意識を高めて(多言語対応に)取り組んでいきたい」と話す同ミュージアム運営室の橋爪優子さん。能楽堂では同日限りの試験的な取り組みだったが、能楽堂運営室の喜田村麻有さんは「狂言は言葉なので、このようなツールがあるのは良い」と好感触を得た様子。今後の正式導入などは未定という。
NTT東日本ビジネス開発本部第二部SMBクラウド担当の山本美希子担当課長は「Wi-Fiを使う一つのシーンと捉えている。今回の反応を見て今後のサービス、ビジネス展開を検討していきたい」と話す。
「これぞ暁斎!」展の開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで、入館は閉館の30分前まで)。入館料は、当日一般=1,400円、大・高校生=1,000円、中学・小学生=700円ほか。4月16日まで。