シアター・イメージフォーラム(渋谷区渋谷2、TEL 03-5766-0114)で3月4日、廃墟に焦点を当てた映画「人類遺産」が公開される。
食べ物の大量生産の現場を描いたドキュメンタリー「いのちの食べかた」(2005年)などで知られるニコラウス・ゲイハルター監督の最新作となる同作。
4年かけて撮影したという廃墟は、米インディアナ州のメソジスト教会や、約30年前の大雨で水没し近年の干ばつで再び浮上したアルゼンチンの街ヴィラ・エペクエン、ベルギーにある火力発電所に付随して建設された冷却塔(通称・パワープラントIM)、かつてブルガリア共産党本部として使われていたホールなど、世界70カ所以上に上る。中には、長崎の端島(軍艦島)や、東日本大震災後の福島の街並みも登場する。劇中に人間が登場しないのも特徴。
ゲイハルター監督は1972年、オーストリア・ウィーン生まれ。1994年に自身の製作会社「ニコラウス・ゲイハルター・フィルム・プロダクション」を設立。「いのちの食べかた」のほか、チェルノブイリ原発事故で被害を受けた村の12年後を追ったドキュメンタリー「プリピャチ」(1999年)など、「作家性の強い」テレビや映画のドキュメンタリーを中心に製作していることで知られる。
今月5日には、キュレーター四方幸子さん、11日には写真家・佐藤健寿さん、ゲイハルター監督と親交のある映像作家・岩崎孝正さんをゲストに招いたトークショーも予定する。