渋谷「Bunkamuraザ・ミュージアム」(渋谷区道玄坂2)で2月23日、絵師・河鍋暁斎の企画展「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力」が始まる。
幕末~明治に活躍した絵師で浮世絵師の河鍋は、1831年下総国古河(現・茨城県古河市)生まれ。7歳で浮世絵師・歌川国芳の画塾に入門するが、10歳で駿河台狩野派の画塾に入り直し19歳で修業を終える。伝統的な日本画をはじめ、浮世絵や西洋画などの画法を研究し、仏画、山水画、戯画、風刺画などさまざまなジャンルの作品を手掛けている。
英・画商イスラエル・ゴールドマンさん収蔵作品を通して河鍋作品の全体像を示す同展。全7章と春画作品コーナーで構成する場内には約170点を展示し、うち約60点が初展示になる。
第1章「万国飛(ばんこくひ)世界を飛び回った鴉(カラス)たち」では、河鍋のシンボルであるカラスを描いた作品14点が並ぶ。1881(明治14)年の内国勧業博覧会で「妙技2等賞牌」(絵画部門の最高賞)を受賞し、通常の十数倍という「百円」で買い取られるなど話題となりカラスを多く描くこととなる。河鍋は、カラスと「万国飛」を組み合わせた印も作るほど思い入れを持っていたという。
第3章「幕末明治 転換期のざわめきとにぎわい」では、洋装の日本人、西洋人、像に乗るアフリカ人など「各国人物図」や、カッパがローマ字を学ぶ「化々(バケバケ)学校」、ハスの蕾(つぼみ)と茎でできた電信柱やハスの葉を車輪に使った人力車などで「文明開化」を表現。同章では版画作品も一緒に紹介している。
第4章「戯れる 福と笑いをもたらす守り神」には、まじめな表情の中国に伝わる神「鍾馗(しょうき)」が鬼をおとりにカッパを捕まえようとしている場面など、構図などでユーモラスに仕上げている作品も並ぶ。続く「百花繚乱 異界への誘い」には、絵巻に描かれることが多い「百鬼夜行」を六曲一双のびょうぶに展開した作品や、2人目の妻の亡きがらの写生を元にしたという「幽霊図」などを展示。地獄模様の打掛を着た遊女・地獄太夫と一休を描いた「地獄太夫と一休」は世界に7~8点確認されているが、それぞれ打掛の柄や構図などが異なるように描かれているという。
同展は、落語家・春風亭昇太さんが音声ガイドを担当するほか、和楽器とロックを融合したバンド「和楽器バンド」の新曲「浮世heavy life」をイメージソングに採用。外国人観光客向けのタブレットガイド(英、仏語、中、韓)も用意する。同施設1階のエレベーター前スペースには、前に立つと河鍋作品の絵が飛び出し、一緒に写真を撮影できる体験型サイネージも設置する。
河鍋の作品を「楽しい」と表現するゴールドマンさん。「幅広い分野にわたって羽ばたくような画力を持っているアーティストで、ユーモアあふれる作品」とその魅力を話す。
開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで、入館は閉館の30分前まで)。入館料は、当日一般=1,400円、大・高校生=1,000円、中学・小学生=700円ほか。4月16日まで。