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東京都写真美術館などで「恵比寿映像祭」開幕 18カ国・地域から93組参加

エルビス・プレスリーを描いたアンディー・ウォーホルに扮した森村泰昌さんの作品(上}

エルビス・プレスリーを描いたアンディー・ウォーホルに扮した森村泰昌さんの作品(上}

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 東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)を中心に2月10日、「第9回恵比寿映像祭『マルチプルな未来』」が始まった。

遊園地の遊具を使った金氏鉄平さんの屋外インスタレーション

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 東京都や東京都写真美術館、アーツカウンシル東京(東京都歴史文化財団)などが主催する同祭は、「東京文化発信プロジェクト」事業の一環として2009年に始まったアートと映像のフェスティバル。同館のほか、日仏会館やザ・ガーデンルームなどに加え、周辺のギャラリー・文化施設14カ所で地域連携プロジェクトを行う。

 毎年、「映像とは何か」をめぐるさまざまな問いと答えの提示を図っている同祭。2008年のプレイベント「映像をめぐる7夜」から数えて10年目を迎える今回は、「映像の原点」に立ち返り映像が持つ「複製(技術)」を出発点に、複製できるということは「同じものが多数(=マルチプル)」存在することであり、「多くのものから成る(=マルチプル)」ものが未来であると位置付け、総合テーマ「マルチプルな未来」を決めたという。

 今回は18の国と地域から93組の作家とゲストが参加。イントロダクションとして紹介する森村泰昌さんは、美術作品の中の人物や女優などに扮(ふん)した作品を手掛ける。シルクスクリーンを多用した作品で知られるアンディ・ウォーホルの作品にあるマリリン・モンローやエルビス・プレスリーに扮した作品を出品。セルフポートレートの作品を手掛ける澤田知子さんは、メークや髪型を変えた自身の写真で東アジアの女性の微細な差異を表現した作品などを紹介する。

 2階は、アーティストユニット「オープンエンデットグループ」が、米ダンサーのビル・T・ジョーンズさんのダンスをモーションキャプチャーして作成した3Dインスタレーション「ゴーストキャッチング」など、「映像と身体」がテーマとなっている作品を集積する。地階には、英ロンドンを拠点に活動する調査機関「フォレンジック・アーキテクチャー」が、マスメディアやSNSにアップされた動画を分析してガザ地区の爆撃を分析・検証する「ラファ 黒い金曜日」などを展示する。

 1階ホールでは、暴漢に襲われて記憶を失った主人公の旅をたどりながら西欧の現在を描く「フィオナ・タン」(ジャパンプレミア)、新進映画作家・長谷川億名(よくな)さんのSF映画「日本零年」3部作の2作品、東南アジアに残る「ベトナム戦争の傷跡」を背景にバンコクの繁華街「タニヤ通り」を訪れる日本人とタイ人女性たちが桃源郷を探す物語「バンコクナイツ」などを上映する。

 恵比寿ガーデンプレイス・センター広場はアーティスト金氏鉄平さんの屋外インスタレーション「White Discharge(公園)」。かつて遊園地で使われていた遊具を組み合わせ、白い樹脂をかけて固めた。照明や音楽もプログラミングし、音楽に合わせて遊具が動いたり、ライティングが変化したりする。

 日仏会館では、映像制作集団「空族」が「バンコクナイツ」撮影の旅路を映像インスタレーションとして編集し直した「潜行一千里」を上映。映画に登場した主要な都市の風景を通じて、タイやラオスの土地の背景を明らかにしていく。手作りしたスピーカーや映像に合わせて振動するベンチなど「体験」にも注力した。

 開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。月曜定休。入場無料(定員制のプログラムは有料)。今月26日まで。

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