西武渋谷店(渋谷区宇田川町)で10月4日、女性社員がモデルを務めたファッションショー「シブヤ ノアール ファッションショー」が行われた。
同日始まった「黒」をテーマにした全館プロモーション「SHIBUYA NOIR」のオープニングイベント。1人当たりの購買単価の下落、外国人旅行客の「爆買い」の失速などから、百貨店業界では婦人服の売り上げが10カ月連続マイナスを記録(日本百貨店協会発表)している中、そごう・西武も店舗により差はあるものの前年比5~7%減少しているという。
同店では今回、「店頭が暗くなってしまう」ことなどからあまり焦点を当てることがなかったという「黒」をフィーチャーし、「上質で洗練された」「スタイリッシュでスマート」なイメージなどを打ち出すことで、低迷するファッションを「見直してもらうこと」を目的に同プロモーションを企画。「百貨店離れが進む」30代を中心に、20~40代へアプローチを図る。
A館1階には、NY発「オスカー・デ・ラ・レンタ」の1点物のドレス(84万2,400円)や伊画家ピエロ・フォルナゼッティの作品をプリントしたプレート(2万1,600円)など、館内で取り扱うブランドの中からセレクトした商品を集積し「黒の世界観」を表現。同館3階では合同展示会「Ambibance」がセレクトする、ファッションブランド「SATOKO OZAWA」「NAPE_(ネイプ)」、ジュエリーブランド「phenomena collection」など国内の新進ブランド6ブランドの期間限定店を出店する。
ほかにも、1990年代のブランドアイコン「フラワープリント」を復刻させた「Calvin Klein」、今季「フェミニンロックスタイル」をテーマにレザーやファーなどを取り入れたスタイルを提案する「LIMI feu(リミ フゥ)」、英ロンドンを拠点にするランジェリーブランド「クリスソニック」のポップアップショップ、レザージャケットや伊ドゥティカのバイクなどを集積しバイカーファッションを提案する売り場「Noir Motor Collection」なども展開する(出店期間はブランドにより異なる)。
ファッションショーでは、館内取り扱いブランドの中から、パリのファブリックメーカー「マリアケント」の生地を使った「ルールドジェット」のワンピース、ピンバッジやボタンなども黒に変更した「ザ・リラクス」のチェスターコートなど、同店限定商品を含む黒のアイテムでコーディネートしたスタイルを披露した。
A館7階特設会場では、独現代アーティスト、カールステン・ニコライさんの展覧会「黒の世界」を開催。インスタレーション「reflektor distortion」は凹面鏡の一種「放物面鏡」をヒントにした作品。複数の蛍光灯を並べた壁の前に、水の入った大きなボウルを設置。そのボウルを回転させることで中の水を回し、ボウルに取り付けたスピーカーから伝わる低周波で水表面に「ゆがみ(波)」を起こすことで、水表面に映る蛍光灯の形が変化する。
同プロモーションのイメージビジュアルはアーティスト鈴木ヒラクさんが担当。ステンレス板で作った立体を館内各所の売り場に設置するほか、B館8階では墨で染めた髪にシルバースプレーのしぶきやシルバーのマーカーで点や線を描いたドローイング作品「Constellation」の展示なども行っている。
篁(たかむら)富夫店長は「ファッションにおける黒は、1926年にシャネルが喪服用の黒をファッションに使った衝撃などから、上質、高質、革新性などを表している。当店は今一度ファッションに正面から向き合いたいと思った」と話し、「テーマを決めて編集して提案していくのが百貨店としては大事なこと。当店はこれからも挑戦を続けていく」と意欲を見せる。
営業時間は10時~21時(日曜・祝日は20時まで)。「黒の世界展」の入場料は一般・大学生500円ほか。今月17日まで(一部異なる)。