白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4、TEL 03-3486-2791)で現在、企画展「描かれた渋谷」が開催されている。
絵画を中心に同館が所蔵する資料25点を時系列で展示し、都市郊外だった渋谷が都心へと変貌する様子を概観する。
江戸~明治時代の作品を展示する「渋谷の原風景」では、1811年に作られた地図「文化江戸図」で渋谷が都市郊外に位置していたことを認識できるほか、渋谷川にかかっていた水車を経営していた、現在の広尾エリアに存在した玉川家の庭園を描いた「玉川家庭園屏風(びょうぶ)」などで、大名下屋敷(別邸)を中心とした武家地や農村など「田舎のような」風景を振り返る。「都市近郊の名所・渋谷」では、書籍「江戸名所図会」で描かれた金王八幡宮や「広尾原(ひろおのはら)」、歌川広重が広尾を流れる古川(渋谷川の下流)を描いた「名所江戸百景」などで、江戸時代の渋谷の「名所」を紹介。
明治時代後半~大正期に宅地化が進み始めたころの渋谷の様子をとらえる「変わりゆく郊外の風景」には、道玄坂や宮益坂上・青山通り、現在の渋谷駅前スクランブル交差点に架かっていた「宇田川橋」を描いた水彩画などを展示。ワシントンハイツや渋谷駅前の闇市、明治神宮などの木版画やイラストで明治時代後半~大正期にかけて次第に宅地化が進み始めた渋谷を紹介するのは「都市としての渋谷の風景」。
昭和以降の作品で「未来の渋谷を描く」最終コーナーには、挿絵画家おおば比呂しが(昭和47)年に未来の渋谷駅周辺を想像した絵や、現在の再開発で建設予定のビルのパースなどを展示する。
開館時間は11時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入場料は、一般=100円、小中学生=50円。今月27日まで。