代官山・旧山手通り沿いの「ヒルサイドフォーラム」(渋谷区猿楽町)で1月16日から、映像作家・柿本ケンサクさん初となるの写真展「TRANSLATOR」が開催される。
空がピンク色に染まる「ビーナスベルト」現象を捉えた写真などが並ぶ場内
学生時代からTVCMやミュージックビデオなどの助監督を経験しながら作品を制作していた柿本さん。TOYOTAやユニクロ、日清などの広告を中心に、坂本龍一さんやMr.Children、RADWIMPSなどのミュージックビデオ、CDジャケットなどを手掛けている。2005年に映画「スリーピングフラワー」で劇場デビューを果たし、2012年には震災後の東北太平洋沿岸部10カ所で花火を同時に打ち上げた活動を追った実録映画「LIGHT UP NIPPON」を公開するなどしている。
50カ国以上を旅してきたという柿本さんは、25歳ぐらい時から仕事として写真を撮影してきたが、ここ5年くらいはライフワークとして写真を撮り続けているという。初の写真展となる同展のタイトルは、自身を「目に見えないものの翻訳者」と考えていることから命名した。
会場では、一定の条件を満たした早朝に見られる空がピンク色に染まる「ビーナスベルト」現象と地球の影、モンゴル・シリングルの人たち、覆面芸術家バンクシ―さんが監修してイングランドのウェストン・スーパー・メアで限定開園したテーマパーク「Dismaland」など昨年10カ国ほどで撮影し150点以上を展示。
カザフスタンにあるロシアのバイコヌール宇宙基地、ハリケーンで塩湖の水が一面に広がったソルトレークシティ―の田園風景などインパクトのある作品もあるが、柿本さんはスコットランド・アバディーンで撮影した、撮影スタッフの食べ残しのスナック菓子やバナナを切り取った写真など「何でもないような」瞬間をとらえた作品が気に入っているという。
作品は全て販売するほか、ポスター(1,000円または2,500円)、図録(4,000円)も用意する。
期間中は柿本さんに加え、落語家や司会などで活動する笑福亭鶴瓶さん(18日)、写真評論家の飯沢耕太郎さん、タカ・イシイギャラリー在籍する菊竹寛さん(以上22日)をゲストに招いたトークイベントも予定する。
同展を「映像作家としても、もう一つ上のレベルに行くために殻を破る必要がある。自分にとってもチャレンジ」と話す柿本さん。「広告分野の自分が初めて開くアートの文脈を持った展覧会。垣根を超えた展示になるので、違和感を覚える人もいると思う。どんな反応があるのか楽しみ。批判も聞きたい」と意欲を見せる。
ライフワークとして写真を撮る時は、「なるべく作意を持たず構図や光も作らないように、気持ちを落ち着かせるようにしている。ふとした瞬間に撮れるものを探している」と言い、「表面的にきれいなものではなく、奥に眠っている世界に目を向けていけたら」とも。
開催時間は11時~20時(最終日は17時まで、最終入場は閉館の30分前まで)。入場料は1,000円(学生以下無料)。今月31日まで。