音楽レーベルや飲食事業などを手掛けるエル・ディ－・アンド・ケイ（渋谷区宇田川町、以下LD&K）が1月12日、音楽に特化したクラウドファンディング・サービス「we fan（ウィーファン）」を立ち上げた。

　1995年に創業し今年20周年を迎える同社。アーティストたちが実現したいモノ・コトを、レコード会社と契約をしていなくても「もっと自由にかたちにできる」ようになることを目指して開設した。

　同社は、都内に2カ所保有するレコーディングスタジオや、4店舗を手掛けるライブハウスの提供、ツアーブッキング、制作した音源の流通、宣伝・PRなどでプロジェクト実行者を支援。ファンクラブ・ファンサイト制作・運営などを手掛けるSKIYAKI（桜丘町）とも提携し、ファンクラブサイトの運営も行えるようにする。

　プロジェクトは一定の審査（3日程度）はあるものの、イベント開催に向けて事前プロモーションを兼ねた集客や、CD発売時のプロモーションツールとしての活用、作ろうとしているグッズのニーズ把握など、音楽に関わることであれば掲載可能。

　実行者は目標金額や1口の支援額を決めることができ、支援額に応じて限定の物やサービスなどを支援者に対するリターンとして設定する。資金分配は、期間中に目標金額が集まらなくても支援を受けられる「Keep it All」方式と、期間中に目標金額が集まらなかった場合は支援者に全額返金する「All or Nothing」方式のいずれかを選ぶことができる。プロジェクト成功時、集まった総額の20％をLD＆Kが手数料として受け取る。

　第1弾として現在、アコースティックデュオ「羊毛とおはな」のボーカルで昨年36歳の若さで亡くなった千葉はなさんの1周忌に、ライブ開催とCD発売を目指すプロジェクトを掲載している。

　同社アウトプット戦略室室長の齋藤哲也さんは「レコード会社主体の仕組みからアーティスト主体の仕組みへとパラダイムシフトし、（アーティストらと）一緒に新しい音楽マーケットを作っていきたい。音楽活動の新しいスタンダードになれれば」と期待を込める。

　初年度は100件以上のプロジェクト掲載を目指す。