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解体前の旧渋谷区総合庁舎でアート&デザインイベント「シブヤのタマゴ」 

庁舎の備品を使った作品も並ぶ

庁舎の備品を使った作品も並ぶ

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 旧渋谷区総合庁舎で現在、アートとデザインの参加型イベント「シブヤのタマゴ」が開催されている。

窓を使って「COLOR」の文字を描いた

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 1964(昭和39)年に建設された旧庁舎は、耐震災時の活動拠点としての耐震診断基準値を下回っていたことから建て替えが決まり、10月9日で業務を終了している。取り壊しを前に、「渋谷芸術祭」などにも携わっているNPO法人「デザインニッポンの会」代表・原木繁利さんが発起人となり企画。かつて道玄坂に養鶏所があった街の歴史や、いろいろな種類があることや、割ってみないと中身が分からないことなどから「卵」と命名した。

 「創造と多様性=違っていて当たり前」をテーマに、「視点の異なる」アーティストを集積。原木さんは「これだけ人がいるのだから、モノの見方が違うのは当たり前。渋谷はその最たるものが集まっている。それを楽しまないわけにはいかない」と力説する。

 参加するのは82組で、庁舎外と庁舎内2階~6階を展示会場に使う。広場側の窓には、ローラーアーティストさとうたけしさんが5色のペンキで「COLOR」の文字を浮かび上がらせた。2階の出口手前は自信の手形とメッセージが書き込める「ハンドメッセージ」コーナーで、長谷部健渋谷区長をはじめ来場者たちの手形が日に日に増えている。

 備品が撤去された庁舎内では、引き出しなどオフィス什器に植物などをあしらった「次の所有者」(草月流華道家・石川里美さん)など、庁舎内にあるものを使う出品者もいる。出品作品は、カラフルなペンキが入った卵の殻で作ったカラーボールを使った来場者参加型のインスタレーション「TAU」(多摩川美術大学)や、触れるとさまざまな影が現れる「石ころのカチナ」(plaplax)など、来場者が参加・体験できる作品が多いのも特徴。

 渋谷を題材にした作品では、渋谷駅の変遷や現在の構内などの縮尺模型(田村圭介さん+昭和大学環境デザイン学科田村研究室)、渋谷のさまざまな場所で撮影した写真のスライド「渋谷の空」、QRコードを読み込むと学生が撮影した360度の風景写真が見られる作品(リコー×日本デザイナー学院)などがある。

 6階の「建築課」「緑と水・公園課」などがあったフロアには、近代建築の巨匠ル・コルビュジェが晩年、自身のために建築した「カップ・マルタンの休暇小屋」.を原寸大で再現しているほか、仏インテリアデザイナーのアンドレ・プットマンが手掛けた家具などを展示。触れたり座ったりできるようにした。

 毛糸を巡らせて巣を作る「ネスト」(宮元三恵さん)でこれまでとは異なる雰囲気になっている議場の外では、Hogaleeさんが連日ライブペインティングしており、最終日まで女性をモチーフにした絵を描き上げる。

 原木さんは「見終わって帰る時に笑顔になってもらえたら」と言い、「視点の違いを生活の中=区役所で表現した。まずは体感すること。そうすることでアーティストたちが表現したかったことを分かった気になれる」と来場を呼び掛ける。

 開催時間は10時~18時(一部は21時まで、最終日は16時まで)。入場無料。11月3日まで。

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