スパイラル(港区南青山5、TEL 03-3498-1171)1階スパイラルガーデンで6月25日、綿布商・永楽屋(京都市中京区)14世・細辻伊兵衛さんの「てぬぐいアート展」が始まった。
1615(元和元)年に創業し、今年400年を迎える同社。先祖が織田信長の御用商人だったことから、信長から「永楽屋」の屋号を拝領したことが始まり。アパレル業界で働いていた14世の細辻さんは12世の長女・久美子さんと結婚し婿入り。稼業見習いから始め、1999年に社長に就任。経営危機を乗り越えるためブランディングを一から見直し、自社で昭和初期に作っていた手ぬぐいのデザインを復刻・販売するなどしている。
手ぬぐいをアートとして展示することで「より身近に感じてほしい」という思いから開く、初の個展となる同展。14世・細辻さんが「黒が好き」であることから立ち上げた黒いアイテムのライン「La’CRO」、カラフルな手ぬぐいをあしらった黒い畳の三畳茶室「La’CRO-AN」、手ぬぐいを使った天草四郎などのコスチューム、昭和初期に作られた手ぬぐいの原本などのほか、家系図や永楽通宝など同社400年の歴史的資料も並ぶ。
天井高や吹き抜け空間を生かしたインスタレーションでは、新緑から紅葉への推移のグラデーションを表現した「春秋」、異なる表情のダルマを煩悩の数(108)描いた「煩悩だるま」(以上12.5メートル)、祇園祭で先頭を行く「長刀鉾」の原寸大(14.5メートル)など「ロング手ぬぐい」を展示。京都の年中行事12カ月分を描いた復刻手ぬぐいで作った「六曲一双屏風(びょうぶ)」は同展に向けて制作したという。
エントランス近くのショーケースでは限定ショップをオープン。会場でも展示する柄の手ぬぐい(91センチ3,240円~)、「La’CRO」のジャケット(4万7,520円~5万7,240円)、手ぬぐいを貼ったうちわ(1,836円または2,160円)、眼鏡ふき(1,404円~)などを販売する。
制作する上で、「手ぬぐいに詳しくない人にも分かりやすく、感覚で見て・触れてもらいたいと考えている」と話す14世・細辻さん。「手ぬぐいでもこんなことができるんだ、ということを表現したかった。百聞は一見にしかずというので、足を運んでいただければ」と来場を呼び掛ける。
開催時間は11時~20時。入場無料。今月28日まで。