ハチ公没後80年、渋谷で新資料展示 足形付き「陶器製ハチ公像」など

当時小学生だった佐々木敦子さんに贈られた「陶器製のハチ公像」

当時小学生だった佐々木敦子さんに贈られた「陶器製のハチ公像」

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 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4、TEL 03-3486-2791)で現在、ハチ公や東京オリンピック、発掘出土資料など、2014年度中に収集された新資料を紹介する「新収蔵資料展」が開催されている。

像の裏からハチと思われる「足形」が新たに発見

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 ハチ公没後80年、飼い主である上野博士の没後90年の節目を迎える今年の同展では、ハチ公や上野博士に関連する貴重な資料を中心に約200点、東京オリンピックや発掘出土資料など約100点を展示する。

 新収蔵品の中で注目されるのは、高さ30センチ程度の「陶器製のハチ公像」。太平洋戦争中に金属供出された初代ハチ公像に代わり、終戦後の1948(昭和23)年8月15日に2代目ハチ公像が新たに設置された。銅像新設にあたり、ハチ公像台座の「忠犬ハチ公」のプレート文字を全国の小中学生を対象に公募し、当時、渋谷区の小学校3年生だった佐々木敦子(現在、羽島敦子)さんの文字を1等賞に選出。副賞として、トロフィー代わりに贈られたのが陶器製の像だった。その後、所在は不明となっていたが、昨年渋谷区内の小学校で見つかり、同館が羽島さん自身に確認したところ、当時贈られたハチ公像に間違いないことが判明したという。さらに台座の裏側には、ハチのものだと思われる「足形」が新たに見つかった。

 そのほか、1948(昭和23)年9月5日に新設されたばかりの2代目ハチ公像を見るため、秋田犬を愛するヘレン・ケラーが渋谷を訪れたときの写真や、1934(昭和9)年に天皇(昭和天皇)、皇后、皇太后に献上された「ハチ公伏臥(ふくが)像」と同じ型で鋳造(ちゅうぞう)された銅像で、昨年目黒区内で新たに発見された1体、ハチ公の鳴き声が録音された「ハチ公レコード」などを展示する。

 ハチ公以外の新収蔵物では、初代ハチ公像を手掛けた彫刻家・安藤照さんが渋谷のアトリエで鹿児島市の西郷隆盛銅像を制作した際、西郷さんと体格・風貌の近い山形県の男性をモデルにしたという歴史的な秘密を裏付ける記録写真や、上野教授が愛用していた和家具など、貴重な新資料の数々も公開している。

 同館学芸員・松井圭太さんは「忠犬ハチ公の話は尾ひれが付いて、逸話とか事実でないことがまことしやかに語られることが多い。この展示を通して、実はどうだったのか、本当のハチ公の生涯を理解してもらえたらうれしい」と話す。

 開館時間は11時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入場料は、一般=100円、小中学生=50円。5月31日まで。

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