渋谷・宇田川町のミニシアター「アップリンク」(渋谷区宇田川町)で1月31日から、ドキュメンタリー映画「バベルの学校」が公開される。
仏パリの中学校にある「適応クラス」の1年を追った同作。適応クラスとは、フランス語がしゃべれない子どもたちのために話せるようになるための集中トレーニングを行うクラスで、「年間約3~4万人」の移民を受け入れているフランス全土の学校に存在するという。
同作では、アイルランドやセネガル、ブラジル、中国など20カ国から集まった11~15歳の子どもたち24人のクラスに密着。家庭的な事情や亡命を求めてきた人など、さまざまなバックグラウンドの子どもたちが宗教や国籍の違いを乗り越えて友情を育んでいく姿をとらえる。
メガホンを取ったのはフランス生まれのジュリー・ベルトゥチェリ監督。さまざまな映画監督の助監督を務めた後、1993 年に監督としてのキャリアをスタート。初の長編監督作品「やさしい嘘」(2003年)は カンヌ国際映画祭「国際批評家週間」グランプリなどを受賞。長編二作目「パパの木」(2010年)はカンヌ国際映画祭クロージング作品として招待された。
ベルトゥチェリ監督は「このクラスは異文化が混ざり合うことの豊かさを感じられるのではないかと思った。近年、ヨーロッパでも人種差別の傾向が強くなっている中で、各国の子どもたち一人一人の個性や価値を映し出す作品を作りたいと考えた」と振り返る。
同作で伝えたいメッセージについて「国や文化の違いは決して悪いことではなくて素晴らしいということ。『みんなと同じ』である必要はない。また、他人を受け入れること、他人に偏見をもたずに接することは非常に大切。相手を理解することで人種問題もなくなり、共存していけると思う」とも。