パルコ(渋谷区神泉町)が12月18日、インキュベート・クラウドファンディング・サービス「BOOSTER(ブースター)」をスタートした。
クラウドファンディング(crowd funding)は、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語。個人や組織が、プロジェクトを始めるために必要な資金をインターネット経由で不特定多数の人から調達するもの。国内では「READYFOR?」「CAMPFIRE」などが広く知られている。ショッピングセンター事業者としてクラウドファンディングを手掛けるのは同社が「日本初」といい、ロケットの発射台のよう、同サービスを通じて「世の中に大きく出ていくイメージ」で命名した。
実行者には同社社員らが、プランの練り上げ、人脈や情報、宣伝・PR、全国19店舗のパルコをはじめライブハウスや映画館などを活用したリアルな場のコーディネートなどをサポートする。実行者は同サイト内からエントリーすることが可能で、エントリーシートが通過した場合はパルコの社員らの助言を受けながらプロジェクト内容ブラッシュアップ。その後の最終審査を通過したプロジェクトのみがサイトに掲載される。掲載までには2~3週間ほどをかけるという。
目標金額は10万円以上で設定でき、支援額は一口500円から。実行者は支援者に額に応じて限定の物やサービスなどをリターンとして設定し、プロジェクト成功後はそれらを支援者に提供する。同サイトでは「オールorナッシング」方式を採用しているため、期間中に目標金額が集まらなかった場合は支援者に全額返金される。プロジェクト成功時は、集まった総額の20%をパルコが手数料として受け取る。
プロジェクトの内容はファッションのみならず、アートや音楽、出版、食、ゲーム、地場産業など広い意味での「クリエーティブ・コンテンツ領域全般」が対象。
オープン時は6つのプロジェクトを公開。渋谷パルコ(宇田川町)で毎年秋に開催されている若手女性クリエーターの祭典「シブカル祭。」のバンコク進出プロジェクト(目標金額200万円)や、蔵開きシーズンに広島・西条で開催されるアートと音楽の祭典「西条酒蔵芸術祭」存続・定着プロジェクト(同30万円)、シンガポールのアートディレクター、テセウス・チャンさんとファッションブランド「アンリアレイジ」のlコラボ雑誌創刊プロジェクト(同200万円)など。1年で数十件のプロジェクトを手掛ける予定。
パルコの牧山浩三社長は同事業を「インキュベート(=新しい才能の発見と応援)を掲げアバンギャルドを志向する当社の根幹となる事業」と話す。