表参道「GYRE」(渋谷区神宮前5)地下1階に6月16日、カップケーキで知られるニューヨーク発ベーカリー「MAGNOLIA BAKERY(マノリアベーカリー)」の日本1号店「マグノリアベーカリー表参道」(TEL 03-6450-5800)がオープンした。経営は飲食店経営などを手掛けるキューズダイニング(本社=札幌市)の子会社スイートスター(港区)。
1996年、アリッサ・トリイさんとジェニファー・アップルさんの女性2人がニューヨークのウエストビレッジ・ブリーカーストリートで創業した同店。余ったバターで作ったカップケーキが人気を集め、1990年代の「カップケーキブーム」を巻き起こし、映画化された米ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」でも取り上げられるなどして、日本でも広く知られるようになった。
2007年から、NY出身のレストラン経営者のアブラムスさんファミリーが経営を手掛け、ニューヨーク市内やシカゴ、ロサンゼルスといったアメリカ国内7店のほか、クウェート、ドバイなどの海外6店をフランチャイズ展開。表参道店はアジア初の出店となる。
オーナーのスティーブン・アブラムスさんとスイートスター取締役の菊地原悠さんは、共通の友人を通じ5年ほど前から知り合いだったというが、日本で展開するに当たりライセンス契約を結んだのは2年ほど前。米本店に足を運んだ際に「地元の人を含め行列を作っていて、地元の人にも愛されていると感じ、東京でもやりたいと考えた」と菊地原さんは振り返る。多数の日本企業から声が掛かっていた中、アブラムスさんは「ブランドを理解して正確に表現しようとしていること」などから同社と契約。一番の決め手は菊地原さんたちの「人間性」だったとも。
1号店の出店地は「いろいろな人が集まる」ことから同エリアに決めた。店舗面積は170平方メートル(うちキッチンが116平方メートル)。テークアウトがメーンだが、イートインスペース9席も用意する。内装は「アメリカンビンテージ」をテーマに、キッチンをイメージして仕上げた。照明やショーケース、什器、床などに使うタイルなど多くはアメリカから輸入。パステルカラーを取り入れクラシカルな雰囲気に仕上げた。店頭に設置したスイーツにアイシングを施すガラス張りの「アイシングステーション」は、世界中の店舗の中で最も広いスペースになっているという。
「アメリカ南部のスイーツショップがDNA」という同店のメニュー約150種の中から、毎日50種ほどをラインアップする同店。レシピはアメリカと同じだが食材は日本で調達しており、味を再現するのに多くの時間を費やしたという。同ブランドの代名詞となっているカップケーキは、バニラとチョコレートの2種の「クラシック」(464円)と、バターケーキにキャラメルメレンゲバタークリームをアイシングする「キャラメル」、シナモンケーキにメレンゲでアイシングする「スニッカードゥードゥル」など10種の「スペシャルティカップケーキ」(518円)を用意。
そのほか、バニラウエハース、バナナ果肉、クリーミーバニラプリンを重ねた「バナナプディング」(10オンス734円、13オンス950円)、パイ(464円、950円)、ミニチーズケーキ(950円)、クッキー(140円~518円)などをラインアップ。ドリップコーヒーや、NY発紅茶「ハーニー&サンズ」(以上、M378円、L432円)、自家製レモネード(M432円、L486円)などのドリンクも扱う。客単価は1,000円~1,500円を見込む。
「多店舗展開してきた中で東京は最もエキサイティング。出店できることを光栄に思っている」と心境を話し、「(同エリアは)美しい街。ブランドにマッチしている」と評価するアブラムスさん。「スイーツ激戦区という認識はないが、(日本は)スイーツカルチャーが発達している」とし、「私たちができるベストを尽くせば成功する」と自信を見せる。周辺に高級ブランドが出店していることと対比し「(当店のスイーツは)購入できるラグジュアリー」と表現し、「全ての方のベーカリーなので皆さんに来ていただきたい。地域に溶け込み、愛し愛される店舗になれば」と期待を込める。
菊地原さんは「アメリカンスイーツが全てそろっているような店。1回では食べ切れないので、何度も足を運んで商品を知っていただければ」と来店を呼び掛ける。将来的には国内の主要都市などに店舗展開を視野に入れているが、「まずはこの店を定着させることが一番」とも。
1日の来店客数は700~800人を見込む。営業時間は11時~20時。