ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷区渋谷1、TEL 03-5468-5551)などで3月29日、ロードムービー「ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中」が公開される。
イベントに登場したジョニー・ノックスヴィルさんと内田裕也さん
英語のスラングで「バカ、アホ、間抜け」という意味を持つ「ジャッカス」は、米コメディアンのジョニー・ノックスヴィルさんが企画・出演するMTVのリアリティー番組。ノックスヴィルさんを筆頭に、ジャッカスのメンバーたちが体を張ったパフォーマンスを繰り広げている。仕掛け人として、映画監督としても知られるスパイク・ジョーンズさんも制作に携わっている。2004年から映画版が公開され、今作は4作目。アカデミー賞メーキャップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた。
同作では42歳(撮影当時)のノックスヴィルさんが3~4時間かけて特殊メークし86歳の「クソジジイ」ことアーヴィング・ジスマンに変身。8歳の孫・ビリー(ジャクソン・ニコールさん)と2人で、ビリーの父親を探すためにアメリカを横断する物語。その道中、店の看板や標識に車で突っ込んだり、ビリーが女装して美少女コンテストに参加しポールダンスを披露したりするなど、一般人を巻き込んだドッキリ番組とロードムービーを合わせた内容。ドッキリを仕掛けられた一般人の素の表情を見ることができる。エンドロールではメーキング映像も流す。
日本公開に先駆けノックスヴィルさんが来日。今月24日に同館で行われたイベントにミュージシャンで俳優の内田裕也さんとともに参加した。ノックスヴィルさんは「日本が大好き。日本に来られてとてもうれしい」と日本語であいさつ。映画4作目となった同作について、「テレビで作れることだけで幸せだった。映画がこんなに長く続くとは思っていなく信じられないが、本当にうれしい」と喜びを表した。
撮影に「けがはつきもの」(ノックスヴィルさん)で、同作撮影中には肘の骨折、手の腱(けん)断裂、膝蓋腱(しつがいけん)断裂のけがを負ったというが「全然大丈夫」と話し、スーパーの前に設置されている子ども用の遊具に乗りスーパーのガラスに突っ込むシーンでは、「痛みは最小限だったが、頭上にある柱に当たらないように撮影した。よけられなかったらここにはいられなかったかもね」と振り返る。
内田さんは登場後、偽物の手を差し出しノックスヴィルさんと握手するふりをして驚かせたほか、同作中に登場するシーンをまね、袖から造花を出すドッキリを仕掛けた。ノックスヴィルさんは「次回作を撮影する際には(内田さんに)出演してほしい」と呼び掛け、内田さんにお薦めの「ドッキリ」を尋ねられると、同作に登場する美少女人コンテストの部分やストリップバーのシーンを挙げた。
同作について内田さんが「最初はムッとしたんだけど、ブラックユーモアが多くてどんどん引き込まれていった」と話すと、「冒頭の方はちょっといたずらが過ぎるが、どうぞご勘弁を」とノックスヴィルさんは苦笑。「(日本公開に向け)ワクワクドキドキしている。どうぞ楽しんで」と呼び掛けた。
「ほかの国の人には内緒にしてほしいけど、故郷以外では日本が一番好き。妻が日本とのハーフで、義理の母親(妻の母親)が日本人だし、日本で過ごしたいくらい」とし、「(この日集まった)観客の中に監督がいたら雇ってほしい。日本の映画に出演したい」とも。
内田さんは「ブラッド・ピットもジャッカスに出た。大物はこういうユーモアを理解できないと。日本人はそういうところ真面目だからダメだよね。ジャッカスよろしく、ロックンロール」とアピール。ブラックユーモアの多い同作にちなみ、佐村河内守さんの格好で同イベントに出演しようとしたところ、配給会社に止められたというエピソードも披露した。