100年に一度と言われる渋谷駅周辺の大規模再開発。その目玉の一つとなる渋谷駅直上の複合施設「渋谷スクランブルスクエア」(渋谷区渋谷2)3棟の中でも先陣を切る「東棟(第1期)」が11月1日、開業する。
渋谷かいわいで最高峰の高さ230メートルの超高層ビルには、最上階の展望施設「渋谷スカイ」をはじめ、計16フロアに上る商業施設、17階~45階には大手IT企業など9社によるオフィスが入り、さらには駅構内や周辺の縦の動線をスムーズにする立体的構造「アーバン・コア」も備えることから、「ダンジョン」とも呼ばれる渋谷駅の利便性向上にも一役買う。
スクランブル交差点を直下に臨み、「スクエア(広場)」として多様な人々が「スクランブル(交流・混じり合う)」するという意味も込められた施設には、「世界最旬宣言」をビジョンに掲げる商業フロア(地下2階~地上14階)に、全213店舗がオープンする。内訳は、日本初上陸=7店、都内初=4店、渋谷エリア初=49店、商業施設初=4店、旗艦店=8店、新業態=39店。
デパ地下から高級ブランドなどのファッション、雑貨やギャラリー、レストランフロアまで、全16フロアのショップ&レストランを徹底ガイド。
東急、JR東日本、東京メトロが共同事業主体となる「渋谷スクランブルスクエア(以下、渋スク)」。11月の開業から年をまたぎ5カ月後の来年3月31日には、同じく駅直上で80年以上にわたり営業してきた東急百貨店東横店(西館・南館)が閉館する。長年親しまれてきた「東横店」の名称は無くなるが、東急百貨店は渋スク内の5フロアに売り場を構え、その形を残す。
その象徴ともいえるのが、地下2階と地下1階に開く「東急フードショーエッジ」。東横店地下1階の食品売り場「東急フードショー」(3月の閉店後も営業を継続予定)による新ブランド「エッジ」で、全29店のうち19店は新業態だ。東急百貨店が取引先に流行や話題性などのキーワードの重要性を説明し、新業態や商品開発などを提案した誘致の結果だという。
東急フードショーに「精肉あづま」を出店する東急グループのセントラルフーズの新業態メンチカツ専門店「渋谷カツ Qメンチ」は、「高座豚」を100%使った「金メンチ」(260円)、高座豚と和牛の合いびきを使った「銀メンチ」(303円)の王道メンチなどを販売。フレンチシェフが開発・監修した3センチ角のキューブ型の「グルメメンチ」(1個216円)は、フォアグラやブイヤベースなどの味をそろえ、手土産用ギフトボックス(6個1,296円)も用意する。球体の「Qpopメンチ」や棒状の「Qstickメンチ」なども。
「ポムの樹 どんぶり たまご屋」は、創作オムライス「ポムの樹」の丼専門店。煮卵、厚焼き卵、とろーり卵の3種が味わえる「元気が出るトリプル玉子丼」(897円)や、「京都の九条ネギ親子丼」(789円)、「国産鯖の玉子丼」(897円)、「自慢のとろとろ角煮丼」(1,005円)、「きざみまぐろの玉子丼」(897円)など、各種卵丼の弁当をそろえる。いずれも好みに合わせて「卵とじスタイル」「卵かけスタイル」の2タイプから選べる。
人気生花店「青山フラワーマーケット」が手掛ける「青山フラワーマーケットデリスタイル」は、「デリ(=総菜)」デリが季節によって変わるように店頭に旬の花をアレンジしたブーケを並べる。実際に食べられる総菜ではないが、デザートをイメージしたフラワーアレンジメント「デザートカップ」(M=1,650円)や、サラダのように旬のグリーンをミックスする「ライトカップ」(770円)、水が入ったカップにブーケを入れた「シーズニングボウル」(1,980円)などを取りそろえる。
ハワイのビーガンカフェレストラン「Peace Cafe Hawaii(ピースカフェハワイ)」の日本初店舗。2010年にハワイで創業した同店は、化学肥料や農薬、添加物を使わず、地元ハワイの新鮮野菜とオーガニック食材にこだわった食事を提供。色とりどりのメイン、サイド、サラダ(各5種)から好きなデリを1つ選べる「カスタマイズデリプレート(メイン+サイド+サラダ+黒米またはキヌア)」(1,059円)などを提供する。黒米と選べる「キヌア」は追加108円、「ヴィーガンロコモコ」は追加130円。グリーンスムージー(L=843円、S=627円)も用意する。
あんパンで知られる創業150年の老舗「木村屋」が仕掛ける新業態「キムラミルク」は、白タイルやレトロでポップなロゴが目を引くテークアウト専門の「ミルクスタンド」。牧場直送の牛乳を取りそろえるほか、渋スク店限定の「渋谷あんぱん」(301円)や、四角いあんパン、メロンパンなどのパンが並ぶ。牛乳瓶とパンのイラストが描かれたショッパーやボックスもかわいい。
米ロサンゼルス発「Urth Caffe(アースカフェ)」初のテークアウト店として登場するコーヒースタンドは、オーガニックコーヒーやボバ(タピオカ)などのカフェメニューを提供。人気のボバは好みに応じてカスタマイズできる。ラブベリーミルクに4種のベリーコンフィチュールをミックス、ストロベリーホイップとラズベリークランチをのせた同店限定メニュー「MIXED BERRY BOBA」(681円)はボバのもちもち感とラブベリーの香りが楽しめる。
地下2階を含め、各フロアの特徴となっているのが、売り場全体を一つの世界観でまとめることで印象に残るように工夫したシンボリックな「360度」環境デザイン。地下2階と5階には、障がいのある作家によるアート作品も壁に描かれている。区画内に単にショップを並べるだけでなく、遊び心を加えたというデザインで、床から壁、照明まで360度楽しめるインテリアも注目だ。
地下1階には、老舗高級スーパーマーケット「紀ノ国屋」の新業態「Gourmand Market KINOKUNIYA(グルマン マーケット キノクニヤ)」がオープン。「おいしいもの好き」な「グルマン(食いしん坊)」が集うにぎわいのマーケットをコンセプトに、世界の食品や日本の旬をそろえる。紀ノ国屋ブランド初のカフェ&バー「グルマンステーション」を設け、彩りあるフルーツを使ったパフェやフルーツサンドをはじめ、サングリアなどのアルコール類も用意。レストスペースではベーカリーの商品や自家製ずしなどもイートインで食べられる。
人気パティスリーによる商業施設初出店となる「EN VEDETTE(アン ヴデット)」は、パリ「モワザン」などでシェフ・パティシエとして勤務後、豊洲「パティスリーSAKURA」のシェフ・パティシエを務めた森大祐さんが手掛け、ショーケースには「遊び心と本格的な技巧」による独創的なスイーツが並ぶ。
1階の中階段を上がったエリア円形状の売り場にあるチョコレートのセレクトショップ「c7h8n4o(チョコガカリ)」は、これまでECのみで展開していたが、今回実店舗を初出店。店名「c7h8n4o」のアルファベットと数字の羅列は、カカオに含まれるテオブロミンの化学式だという。セレクター児玉寿瑞奈さんを「チョコ係(チョコガカリ)」に起用。イタリアの「バーチディケラスコ」(8,640円)、ポルトガルの「ポートワインガナッシュ」(1,890円)、ジンジャーや海塩、マジョラム、マンダリンなど種類豊富なイタリア・シチリアの「アンティカ・ドルチェリア・ボナイユート」などの定番をはじめ約70種のチョコレートを取りそろえる。
吉田守秀さんがオーナーシェフを務め2012年にパリ7区で創業した「MORI YOSHIDA PARIS(モリ ヨシダ パリ)」が日本初出店。店頭には、パイ生地の上にドレープのように絞ったクレームモンブランで人気の「モンブラン」(918円)も登場する。
「エキュート エディション」内に出店する三軒茶屋のパティスリー「プレジール」の新業態「FRUCTUS(フラクタス)」も、2ミリのメッシュで裏ごしした熊本県阿蘇産の栗ペーストを使った「フレッシュモンブラン」(680円)を提供。渋谷限定商品として「誕生」の意味を込めて卵に見立てたケーキ「エッグ」(630円)や、エキュートエディションの柱のデザインをモチーフにしたケーキ「ピリエ」(1,600円)なども並ぶ。
奈良・吉野の「堀内果実園」の都内初となる直営店では、代表商品のドライフルーツやコンフィチュール、シロップに加え、吉野の山に実る「柿」の色をイメージした什器にカラフルな果物加工品を並べ、「あんぽ柿」の季節限定商品などもそろえる。
営業時間
ショップ:10時~21時
レストラン:12階=11時~23時