4季目が開幕したBリーグ。強豪ひしめく東地区に属するサンロッカーズ渋谷(SR渋谷)は開幕3連勝と好調な滑り出しを見せている。今季新戦力として加わった選手の中から、リーグトップレベルの3ポイント(P)シューターとしてオフェンス面を中心に期待される田渡修人選手をフィーチャーする。
――バスケットボールを始めたきっかけは?
ミニバスに入団したのは5歳。父親が先生だったので身近で、バスケットはしていたんですけど、お兄ちゃんが入団するのと同じタイミングで入りました。むしろ弟はもっと早く入団しています。
――弟の田渡凌選手(横浜ビー・コルセアーズ)は、テレビ番組「テラスハウス」に出演して話題を集めていますね。
入っているのは前から知っていました。結果で応えないといけないのがプロなので大変な思いはすると思いますけど、あいつはプロフェッショナルなので、そこはそんなに心配していません。
――見ているのですか?
楽しみながら見ています(笑)。あいつ、物が散乱しているのとか嫌うし、ストレートに言うタイプなのでシェアハウスでどう生活するのかなと思ったんですけど、うまくやりつつ自分の意見も言っているんで…。面白い、しっかりしているなと。
――東京(足立区)出身ということですが、渋谷にも遊びに来ていましたか。
中高は池袋とか多かったのですが、大学生の時によく来ていました。道玄坂とか、学生の時は浮かれていたことが多かったので、酒を飲みに…。
――クラブとか?
そうです、言おうか迷ったんですけど(笑)。
――久しぶりに渋谷に来てみて印象はどうですか。
高い建物が多い。歩きながら「うわ、スゲーな」って。何でもあるし、やっぱり人が多い。三遠(ネオフェニックス、本拠地は愛知・豊橋市)もすごくいいところだったんですけど、街灯は無いし、駅は無人で田舎だったので、そこからのギャップがすごい。
――東京のチームに来て、「故郷に錦を」という思いはあるのですか。
東京だから選んだわけではないですけど、地元のチームでプレーできる機会をもらって、地元の友達とかが見に来てくれる機会が増えたので、それが励みにもなるし、いい姿を見せたいです。
――中心メンバーとして活躍していた三遠ネオフェニックスからの移籍となりました。
正直、最初はあまり移籍を考えていなかったのですが、その中でいろいろなことが起きて、強豪である東地区でチャレンジできる機会があったので…。東地区でどれだけできるかなっていう気持ちがあったのですが、今はやってやるという気持ちの方が強いので楽しみです。
――SR渋谷にはどんな印象を持っていましたか。
昨年やおととしはハーフコートで(ロバート・)サクレ選手にボールを入れる攻撃が多かったのですが、昔からの印象はとにかくディフェンスが堅い。オフェンスで点を取るというよりもディフェンスで失点をトランジションで走る。
――今季もディフェンスを重視したスタイルを引き継いでいますね。
昔はオフェンスだけをやりたかったくらい本当にディフェンスが嫌いで。でも三遠に入ってディフェンスの意識が変わって、このチームでもディフェンス遂行能力は高い方だと思うので自信はあります。
――田渡選手は3Pシューターとして知られていますが、名前は「シュート」から付けられているのですか。
そうです。バスケットのシュートという意味で付けられています。シューターというポジションをやっている以上に名前負けしないようにしないと。
――3PではSR渋谷には石井講祐選手というライバルがいますね。
意識していないと言ったらうそになる。同じチームでも勝ちたいと言ったらおかしいですけど、一緒に高めあいながらやっていく中で負けないように頑張りたい。同じチームにライバルがいることはいいことだと思っています。
――今年はポイントガードも担っていることから、ドライブも積極的に仕掛けている印象があります。
ポイントガードの時は隙あらば、リングにアタックしてシュートまで行けるなら行くし、(SR渋谷には)シュートが入る選手がいっぱいいるので、いけなかったらボールをさばく感じ。少しずつうまくいくようになっている感触があります。
――ポイントガードの経験は?
大学4年間ポイントガードで、世代の代表にも入れたので相当自信を持っていました。でもプロになって栃木(現・宇都宮ブレックス)で3年やったのですが通用しない部分が多くて…。三遠では2年目からやっていなかったです。なので、最初は忘れていた部分とかありましたが、(アシスタントコーチの清水)太志郎さんに教えてもらいながら、徐々に取り戻せてきています。
――今シーズンの個人的な目標は?
毎年3P(の確率)40%以上というのは言っていて、そこはブレないで今年もやりたいです。40%は最低で極力高く。でも、本当に優勝がしたいので、今年はあまり自分の得点とかは考えていなくて…。東地区に、優勝するチャンスがあるチームに来られたので、今は全く目標を考えていません。
――勝つためなら何でもすると。
チームがうまくいくように、勝てるように自分が求められていることがあるなら。その中で自分が生きればいいとは思います。サンロッカーズのファンには「頼もしい」と思ってもらえたらうれしいです。
――チームメートから「いつもしゃべっている」と言われていますが、コートの中だけでなくベンチでも声を積極的に出していますよね。
しゃべるのが好きなので(笑)…。普段は意識していないのですが、バスケの時は多少意識しています。試合に出させてもらっているので、ベンチでも出せる声でチームを助けられるなら積極的に出そうと思っています。若い選手も多いので、特に悪い流れの時は沈みがちになっちゃうので、そこは僕が声を掛けて少しでも良くなるのなら…。でも、今年のチームは本当に誰でもしゃべれるし、皆がいい関係を築けているのでやりやすいです。
――改めて今季はどんなシーズンにしたいですか。
新しく来たメンバーが多いので、うまくいかないこともあると思います。東地区はライバルが多くて強いのですが、シーズンを通してチームで成長して一丸となって戦って、まずはしっかりとチャンピオンシップに出て、優勝に向かっていけたらいいですね。
――優勝に対する思いをひしひしと感じます。
東京都で優勝とかはあるのですが、高校も大学も優勝したことがないので、日本一というのになってみたくて…。毎年思ってはいるのですが、今年は移籍した初年度なので本当に優勝したい。それができるメンバーがそろったと思うし、コーチも頑張ってくれているし、いいファンが多いと聞いているので、応援に応えられるようにしたいです。
Shuto Tawatari
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1990年1月6日、東京出身。身長185センチ、体重79キロ。
呼んでほしいニックネーム:しゅーてぃー
勝ち飯:特になし(食べないようにしているのは生物と揚げ物)
バスケ選手になっていなかったら:体育の先生
休日の過ごし方:朝早く起きて妻とカフェに行く
趣味:コーヒー豆探し
編集後記
チーム一と言っても過言ではない田渡選手のコミュニケーション能力は、チームメートの多くからも「ムードメーカー」として名前が挙げられるほど。新加入選手が約半数という若いチームながらも選手同士がよく会話し、笑顔があふれているのは田渡選手の存在と「相棒」の山内選手の存在が大きいのではないでしょうか。インタビュー前から「タン塩」を連呼されたので、私は彼の好きな食べ物は忘れないでしょう。