3季目を迎えている男子プロバスケ「Bリーグ」。昨年の王者であるアルバルク東京に、将来の日本代表を背負うであろうビッグマン2選手が入団した。彼らに話を聞くチャンスを得た。
まずは、満22歳以下の選手を対象に育成・強化を目的にした「特別指定選手」として入団した東海大学3年の平岩玄選手を紹介する。
――入団おめでとうございます。もう練習には加わっているんですよね。
ありがとうございます。今は、インカレ(全日本大学バスケットボール選手権記念大会)でけがをした足首の治療とリハビリを1週間していて、(12月)24日に少しだけ練習に混ざりました。見ているだけでも勉強になりますが、これから一緒にやれることにワクワクしています。
――インカレが終わってすぐの入団となりました。
休みたい気持ちもありますが、こんなにバスケができるのは幸せですし、若い時期しかぜいたくなことはできないと思っています。この先、Bリーグで外国籍の選手と戦ったりさらに高いレベルを目指すことになったりする時に、この時期を休んでしまうと差が出てしまうと感じているので、将来のための投資だと思って挑戦しようと…。
――その中でアルバルクを選んだ理由は?
まず、2年前の(U-24日本代表チームの強化・育成を目的にした)キャンプで、ルカ(パヴィチェヴィッチヘッドコーチ)に1カ月教わる機会がありました。ルカが目指すバスケや求めていることは大学にない視点で、Bリーグのさらに上を視野に入れて指導してくれる。大学の試合が無い中で自分がどういう環境に身を置きたいかを考えた時、ルカは絶対に手を抜かないし、どんな選手も厳しく丁寧に指導してくれるので、成長するためにはいい機会だと思って選びました。
――練習や試合を見ていて、アルバルクにはどういう印象を持っていますか。
職人が集まっている感じ(笑)。ルカの求める堅実なバスケの下、仕事を遂行する強い力を持っていて、練習でやっている戦術や激しさをそのまま試合に出している印象です。一つ一つのプレーの質も練習もレベルの高いインサイドの選手がそろっていて、練習から日々勉強になります。
――アルバルクには、日本代表のセンターを張っている竹内譲次選手もいますね。
譲次さんはずっと外国籍選手相手に戦ってきて、技術も戦うメンタリティーも刺激になる。スキルでは遠く及ばないですが、多くのことを学びたいです。
――竹内選手に負けない、負けたくない部分は?
難しいな…エネルギーを出して相手を「倒してやる」という気持ちは負けないようにしていきたいです。
――最後に意気込みを聞かせてください。
短い期間で戦うので、1秒1秒が無駄にできません。大学に帰るときにチームをさらに引き上げられるような経験をしたいです。戦う姿を見てほしいです。
平岩玄(Gen Hiraiwa)
1997年12月5日愛知県出身。身長199センチ、体重103キロ。ポジションはセンター。背番号は21。現在東海大学在学中(3年)で、昨シーズンは琉球ゴールデンキングスに特別指定選手として入団していた。中学時代から注目を集め、高校ではアンダーカテゴリーの日本代表にも選出。今年開催された「ウィリアム・ジョーンズカップ」には日本代表として出場した。
続けて登場するのは、4年ほど前にバスケを始めたにもかかわらず、日本代表に選ばれている米ジョージア工科大学在学中のシェーファー・アヴィ・幸樹選手。
――いつ頃からBリーグ入りを考えていたのですか?
初めは今年の夏。でも、その時はまだ大学でプレータイムをもらえる可能性が大きかったので、少し考え始めた程度でした。でもプレータイムが無くなって、ジョージアテックだと練習もあまりできず、個人練習もやってくれなかったので、体は大きくなりましたけど技術面では全く成長していなかった。11月頭くらいにヤバいかなと感じて親やコーチと話し始めました。その時は来年など先のことだったのですが、早く(アメリカを)出た方がいいと感じて…。12月になるかならないかくらいの時期に「もう出なきゃ」となって、Bリーグのチームと話をして、出国の1週間くらい前に決断しました。
――Bリーグ入りを決めた理由は?
僕は日本代表でプレーすることに重きを置いています。代表でプレーすることを考えた時に、2020年の東京五輪に出ることが直近の目標で、何が何でも出たいと思っています。そのために何をするべきかを考えた時に、大学でプレータイムをもらえてなくて、来年ももらえる見込みがなかったので、残っていたら自分のためにならない、代表活動に影響が出ると思いました。
――日本代表にこだわりがあるんですね。
バスケで生きていこうと思ったきっかけが日本代表の活動です。インターナショナルスクールではそれほど真剣にやっていなかったのですが、U-18やU-19(の日本代表)に呼んでいただき、その時にバスケが好きだな、バスケで生きていこうと思うようになりました。その後もA代表に呼んでもらうなど「成長させてくれる」思いを感じたので感謝しています。
――それでも大学を休学しての入団は思い切った決断ですね。
卒業はしようと思っています。単位はオンラインでもある程度取れるので、出席しないといけない授業は後々帰って取りたいと考えています。
――同級生でもあり米ゴンザカ大学でプレーしている八村塁選手は何か言っていましたか。
塁にはだいぶ前から話してはいました。塁も僕がプレータイムをもらえてないのを「おかしい」と思っていてくれて。「ジョージアテックにいたらダメになる」と言われて、塁もプロ(Bリーグ)に行くことは賛成で、「行け!」みたいな感じでした(笑)。
――大学のチームメートの反応は?
だいぶ急な決断で、伝えるのが遅れてめちゃ驚かれたんですけど、皆プロでプレーすることを夢見ているので、すごく祝福してくれました。
――Bリーグの中でもアルバルク東京を選んだ理由はどこにありますか?
代表の(馬場)雄大さんや(竹内)譲次さんがルカの下でうまくなっていると感じ、指導者としての実力から彼の下でプレーをしたいと思いました。加えて施設も充実していて、自分がレベルアップする近道だと感じました。
――いつからアルバルクの練習に参加しているんですか?
12月の18日に合流しました。代表の選手もいて半分くらいは知り合いだったんですけど、ベテランの先輩たちもすごく優しくて温かいチーム。ルーキーとして過ごしやすいです。アルバルク自体が個人のレベルアップに重きを置いていて、コーチ陣も親身になって個人ワークアウトもやってくれています。
――パヴィチェヴィッチヘッドコーチの練習は厳しいと有名です。
大学の練習から来ているのでそんなに感じていないです。ルカは細かくて、厳しいとは思いますが、練習が厳しいことはチームとしてレベルアップにはいいことだと思います。
――自分の強みはどんなところだと思っていますか。
ビッグマンの中では動けると思うので、ファストブレークで走るなどしたいです。ミドルレンジのシュートは練習してきたので、ルカのバスケにも合っているし武器になるのでは。課題でもありますが、サイズと体の大きさがあるので、Bリーグに多い大きいビッグマンに当たり負けしないようにしたいです。
――重点的に練習している部分は?
ルカに言われているのは、オフェンス面では(スクリーンを使ったオフェンスの)ピック&ロールとピック&ポップの技術を磨くこと。日本人ビッグマンはそれができれば一流になれるとは言われているので、練習では最優先でずっとやっています。ディフェンス面では、ほかのチームでやっていたのが癖になっていて、チームやルカのルールにまだ慣れていません。なので、だんだん合わせて動けるようにすることですね。
――同じポジションには、日本代表の竹内譲次選手もいますね。
譲次さんは日本ではトップレベルの選手なので、毎日できるのはためになる。それだけでなく、外国人選手もいい選手がそろっているので、練習だけでもレベルアップに感じています。
――ファンの方たちには何と呼んでほしいですか?
特にあだ名は無いので、アヴィで(笑)。
――最後にBリーガーとしての意気込みを聞かせてください。
ルカのバスケットに慣れてプレーを覚えて、プレータイムをもらえるようになって、アルバルクが連覇する手助けになれたら。
シェーファー アヴィ 幸樹(Koki Avi Schafer)
1998年1月28日兵庫県生まれ。身長205センチ、体重106キロ。ポジションはセンター。背番号は32。2016年・2017年にはアンダーカテゴリーの日本代表としてワールドカップなどに出場。今年は「ウィリアム・ジョーンズカップ」「アジア競技大会」の日本代表に選ばれている。米ジョージア工科大学在学中。