野球・サッカーに次ぐプロスポーツリーグとして発足した男子プロバスケ「Bリーグ」開幕に合わせ、渋谷区をホームタウンとするチーム「サンロッカーズ渋谷」が参入。2季目となる2017-18シーズンも後半戦に突入する中、今回は若き新戦力にスポットを当てる。阿部諒選手に続き紹介するのは、昨シーズン「特別指定選手」として入団していた杉浦佑成選手。
――昨シーズン、特別指定選手として約3カ月在籍し今回正式に入団しましたが、今シーズンのサンロッカーズの印象はどうですか?
オンコートでもオフコートでもしゃべる人が多いので、チームが明るいですね。自分は元々無口な方なのですが、「もっと喋れよ」って言ってくれるので、今は頑張ってしゃべるようにしています。英語が出来ないので、最初は恥ずかしさもあって外国籍選手には話しかけられてもうなずくことで返していたんですけど、無理やりでもしゃべるようにしています。
――それは心境の変化から?
前回(=特別指定選手として入団していた時期)はお客さんのような感覚があったのですが、今回は(正式な)チームのメンバーになったので、僕自身の気持ちも以前と違い、なるべく輪の中に入っていこうと思っていて。
――特に気にかけてくれる選手はチームメートの誰ですか?
皆さん仲良くしてくれますが、やっぱり満さん(=満原優樹選手)が可愛がってくれます。食事に連れて行ってくれますし。以前は大学の近くに住んでいたので、(練習などが)終わったら帰らなきゃいけなかったんですけど、今は引っ越して練習場の近くに住んでいるので、焼き肉などを食べに連れて行ってもらっています。
――大学の時と生活は変わりましたか?
大学の時から1人暮らしなのでそんなに変わりはないです。ただ一つ違うのは、大学の時は同級生が近いエリアに住んでいましたが、(今は環境が変わって)たまに寂しいと思う時がありますね。
――(通りすがりの満原選手が)寂しいと思うの?
たまにですよ。でも、満さんが焼き肉に連れて行ってくれるから…
――(満原選手)そういうこともっとアピールしておけよ。(そのまま立ち去る)
…兄貴肌ですよね(笑)
――そもそもバスケを始めたのはいつ頃ですか?
部活に入って本格的に始めたのは中学1年ですね。それまでは、友達がやっていたのでサッカーと、親に行かされて水泳をやっていました。中学(世田谷区立梅丘中学校)のバスケ部はけっこう強くて、初心者が僕だけで一番下手だったんです。最初はついていくのがやっとだったんですけど、身長が大きいこともあって、どんどん動けるようになってから楽しくなりました。
――プロを目指したきっかけは?
小さいころからスポーツ選手になりたいと思っていました。当初はNBLに入って、引退しても企業に残れたらと思っていたので、プロ化と聞いた時は正直「勘弁してくれよ」と思っていたんですが、今は盛り上がっているし、(結果的に)良かったのかなと思っています。
――サンロッカーズの選手の中で唯一東京出身ですが、学生時代から渋谷には遊びに来ていましたか?
(実家から)近かったので、中学の時によく来ていました。よく行たのは、(渋谷センター街奥のスポーツショップ)「ギャラリー2」ですね。でも、中学生ですから買えないので、スポーツショップに行っても見ているだけ。大学生になってからは、去年の天皇杯などを含めて、代々木体育館(=国立代々木競技場内の体育館)でも試合をしましたね。
――あらためて学生とプロの違いをどう感じていますか?
職業としてお金をもらうので、学生の時よりも責任がありますね。あと試合日数が多く、どのチームにも外国籍選手がいるところですね。
――オフコートで気を付けていることは?
移動が私服なんですよね。(チームメートと)一緒に行動をしていて、「気を使っているな」と思ったので、この間洋服を買いに行きました。元々あんまり買わないんですけど、そういうところも意識を変えていこうかなと。
――プレーするうえでの変化はありますか?
大学の時は、(自分たちのことを)ちゃんとやれば勝てる。ただプロは、相手のフォーメーションがこうだからこういう守り方をするとか、対戦チームによって大きく変えることがあって、毎週頭を切り替えていかなきゃいけないのは、まだ慣れないですね。
――試合に出場できる機会はまだそんなに多くないですが、ベンチにいる時はどんなところに注目していますか?
同じポジションの選手の調子はもちろん気になりますし、あとは相手のフォーメーションとか。スカウティングして相手のフォーメーションを頭にある程度に入れた状態で試合に臨むので、「このフォーメーションきた」と思ったら(対応の仕方を)再確認をするなどしています。あと、いきなり試合に出た時にうまく入れないと感じているので、声出していつでもすっと入っていけるようにしています。
――試合に出るために重点的に取り組んでいることはありますか?
今は基本的なことから、シュートやピック&ロール(オフェンスの一種)も…やらないといけないことばかりです。
――サンロッカーズでは、NBA選手のシューティングやスキルワークアウトなどを担当しているデイヴィット・ナースさんがスキルコーチを務めていますが、ナースさんからはどんなことを教わっているんですか。
僕は体があるので「リングにアタックしていけ」を言われています。もう1つは、シュートを打つ前の準備。棒立ちでボールをもらうのではなく、沈んだ状態でもらって、すぐにシュートを打てる準備をすることをアドバイスしてもらっています。ナースさんは基本的にポジティブなことしか言わないです。
――Bリーガーで好きな選手は誰ですか?
尊敬していたのは、(シーホース三河の)金丸(晃輔)さん。とにかく点を取るスタイルは高校の時からすごいなと思っていました。
――自身が目指す選手像も「点取り屋」ですか?
んー、ディフェンスができて、外国人にも当たり負けしなくて、シュートも入る選手。今は、どんな言い方がいいのか分からないけれど…存在感が薄いので、ディフェンスでも何でもいいので、まずチームに影響を与えられるように。これから先ポジションとかこだわるんだったら、良い意味でインパクトを残していかないといけないなと。
――身近な選手だと広瀬健太選手のような?
広瀬さんはインパクトありますよね。ベテラン選手なのに一番アグレッシブで、よく走る。運動量がすごいですよね。広瀬さんのように早くは走れないですけど、若いからエネルギー出していかないと行けないと思います。
――杉浦選手と同窓の馬場雄大選手が、同じく大学在学中にアルバルク東京にプロ選手として入団しましたが、彼はどういう存在ですか。
在学中からアルバルクの試合を見ていました。大学の時も刺激をもらっていて、もっと頑張らなきゃいけないと思っています。
――馬場選手は日本代表にも召集されていますが、日本代表は1つの目標ですか。
そうですね。ただ、まずは(チームの)試合に出ないといけない。そういった意味では、途中から出場してミスとかしたら論外。インパクトを残してチームに勢いを与えたいです。
――最後にご自身の強みはどういうところだと思いますか。
シュートには自信があります。3ポイントだけでなく、ミドルレンジからのシュートも得意なので(チームメートにも)負けないのではないかな。でも、もっとガンガン、ドライブとかできた方が良いのかと思っています。
杉浦佑成
1995年6月24日東京生まれ。身長196センチ、体重95キロ。3月23日に筑波大学を卒業。大学1年から3年まで全日本大学バスケットボール選手権大会(インターカレッジ)で優勝し、2年連続で優秀選手に選ばれたほか3年時には最優秀選手賞と得点王に輝いた。同年は関東大学バスケットボールリーグ戦も制し、優秀選手と3ポイント王の称号も得ている。これまでU-16、U-18の日本代表に選ばれているほか、2015年と2017年にはユニバーシアード代表に選抜されている。