特集

Bリーグ2017-18、サンロッカーズ渋谷特集.5
#32 山内盛久選手

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昨年、野球・サッカーに次ぐプロスポーツとして発足した男子プロバスケ「Bリーグ」。リーグ開幕に合わせ、「サンロッカーズ渋谷」が渋谷区をホームタウンとするプロスポーツチームとして参入。2季目となる2017-18シーズンが9月29日に開幕したのに合わせ、サンロッカーズ渋谷のヘッドコーチと選手たちに今シーズンの意気込みを語ってもらった。今季新加入選手として最後に登場するのは、そのキャラクターでもファンから愛される山内盛久選手。

«第4回 ジョシュ・ハレルソン選手

初めての単身赴任で沖縄の海が恋しい

――山内選手の移籍には正直驚かされました。生まれも育ちも沖縄で練習生から数えると7年、キングス(琉球ゴールデンキングス)でプレーをしていましたが、沖縄を離れることに不安は無かったですか?

それはあまりなくて。自分自身どこに行っても、どんな環境でもできるという自信はあったので、心配事は無かったですね。

――その中でサンロッカーズに入団を決めた理由は?

沖縄に一番帰りやすい場所だったという点です。妻が都会で生活できる性格ではなく、来てもストレスがたまってしまうと思ったので、それだったら親せきや身内がいる沖縄で暮らしてもらった方がいいので単身赴任することを決めていました。ほかのチームからも誘いがあったんですが、そこが一番の大きなポイントでした。家族と離れることは不安というか寂しさはありましたが、そこは自分が我慢すればいいだけなので。

――沖縄県外に住むのは初めてということですが、新生活はどうですか。

住みやすいところなのでだんだん慣れてきました。海のない生活は初めてなので恋しさはありますが、チームメートにヘルプしてもらって、いろいろな所を紹介してもらっています。

――今シーズンの開幕戦がキングスのホームである沖縄でしたが、久しぶりの故郷はどうでしたか。

(沖縄に)帰ると言葉では言い表せないですが、落ち着く場所だなと改めて再認識できましたね。

――サンロッカーズのホームタウン「渋谷」は沖縄と全然違う都市だと思いますが、どんな印象ですか。

すごい人の多さにびっくりして…。何回か通ったことはありましたし、昨シーズンの開幕戦が代々木(=国立代々木第一体育館)だったのでホテルの周りは歩いたんですけど、試合だったのでゆっくり見る機会が無く…。スクランブル交差点も斜めに歩くのが普通なんですよね?直進しちゃうところがあるので(笑)すごく驚きました。改めて渋谷に来たんだなという実感が湧きましたね。

――キングスはリーグでもトップレベルにファンが多いチームですが、サンロッカーズファンを増やすために必要なことは何だと思いますか。

選手自身がやることは試合に勝つこと。バスケ知っている人も知らない人も、強いチームは見に行きたいと思うので、まずはそこ。一つ一つの試合を勝てるようにしたいと思います。

「#ユーモア山内盛久」 持ち前の明るさで早くもムードメーカーに

――昨シーズンはBリーグのシーズンアワードで「ユーモア選手賞」受賞まで、あと一歩でしたね。

そんな賞があることを知らなくて…。(投票)当日に「やたら『#ユーモア山内盛久』っていうタグを付けてくるな」と思っていたら、そういう賞があると知って(笑)。でも、そういうところからでもバスケに興味を持ってくれたらうれしいので、自分の持っている部分は隠さずにもっと出していきたいです。

――サンロッカーズでも早くも「ムードメーカー」としてのパワーを発揮しているとか。

昔から元気で明るい性格というか、座右の銘ではないですけど、やっぱり人生は一度きりなので楽しい方が絶対にいいかなと。何事も楽しくしよういという意識があるので、辛い時こそ皆に声を掛けるなど、少しでもプラスになるような行動を心掛けています。割と切り替えも早い方で、終わったことをぐずぐず考えるより、次にどうつなげるかを考えた方が成長は早いと思うので、そう考えるようにしています。

――試合中はベンチでもチームを鼓舞する姿が印象的ですね。

良い時も悪い時もベンチから声を掛けるのは大切。どんな時でもコートの5人を孤立させちゃいけない、「ベンチも一緒に戦っているんだぞ」という意味も込めて盛り上げることは大事にしています。負けている時でも声を掛けることで、悪い流れも少なからず減らしていけると思っているので、これからも率先して盛り上げていきたいです。

――試合前など、同じくキングスからの移籍となった伊佐勉アシスタントコーチと一緒にいるところをよく見かけます。

長年ずっと一緒にやっているというのもありますし、戦術やバスケットに関してはコーチ陣の中では一番話しやすいので、困ったときはすぐに聞きに行ったり話に行ったりします。必然的に一緒にいることは多くなるのかな(笑)

「苦い経験した」Bリーグ初年度、新天地では「自分のバスケ」を

――プレー面での強みを自己分析していただけますか。

自分自身、派手なプレーをする選手ではないので、泥臭いプレー、自分ができることを1つ1つやろうと思っています。ルーズボールにはダイブして自分たちのボールにしたいし、ディフェンスからリズムを作るのがチームのテーマなので、ガードとして相手のやりたいプレーをさせないように最前線からのプレッシャーやハッスルプレーが大事になってくると思っています。

――サンロッカーズではどんな役割を担っていきたいですか。

ガードをやっている以上チームを引っ張っていきたい。岸本(隆一)や並里(成、現・滋賀レイクスターズ)というメインガードのバックアップというポジションにいた沖縄(琉球ゴールデンキングス)の時と違って、新天地になったことと、(サンロッカーズは)同世代が多いということで自分たち世代が引っ張っていかないといけないという思いがあるので、受け身にならずに自分から積極的に引っ張っていけるプレーや行動を増やせたら。自分のやってきたプレースタイルのほかに新たなチャレンジもできますし、移籍して良かったと思っています。

――アーリーカップではノールックパスで場内を驚かせる場面もありましたね。

自分としては得点するよりもアシストする方が好きですね。サンロッカーズには得点を取れる選手がたくさんいるので、もっともっと皆の良さを引き出せたらいいですね。ただ、Bリーグになってすごくレベルが高くなり、そこは相手も研究してきて見切られているところもあるので、自分がシュートまで行かないといけない時も出てきます。自分がしたいアシストと逆のこと、つまりシュートをすることでアシストがより生きてくると思います。そういった意味でアシストファーストではなく、しっかり得点は狙いに行って、得点を挙げることで相手のディフェンスも寄ってくるので、引き付けた分仲間にパスできるようにしたいです。

――もっと得点を挙げたいと?

そうですね。元々シューティングガードとしてずっとやっていて、途中でポイントガードにコンバートしてから仲間を使うという意識でやってきました。まだまだ感覚的に忘れていますが、元々持っているリングにしっかりアタックする姿勢をちょっとずつ取り戻しつつあるので、練習から自信をつけていけるようにしたいです。ロブ(=ロバート・サクレ選手)とかも(シュートを)「打て」と言ってくれるので、期待に応えられるようにオフェンス面ももう少しアグレッシブにしていって、チームが苦しい場面で決められればチーム力の向上につながると思っています。

――改めて今シーズンの意気込みを聞かせてください。

昨シーズンはなかなか試合に出られず、いろいろな意味で苦い経験をしたので、心機一転、新しいチームで同級生も多く遠慮せずにできる環境も整っているので、思いっきり自分のできるバスケットをしっかりとコートで出せるようにしていきたいです。

次回は#13阿部諒選手が登場。

山内盛久
1990年3月23日沖縄生まれ。身長175センチ、体重75キロ。専門学校「尚学院国際ビジネスアカデミー卒業」。琉球ゴールデンキングスの練習生候補、練習生を経て、2011年にbjリーグ「琉球ゴールデンキングス」に入団。Bリーグ初年度の昨シーズンまでの6シーズン、琉球ゴールデンキングスでプレー。サンロッカーズ渋谷への入団が自身初の移籍となった。使っているバッシュはナイキ。

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