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「コミュニティバス」が渋谷に新登場
ミニバス人気の新たな潮流

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■渋谷区に登場したコミュニティバス「ハチ公バス」

渋谷区では3月28日より、区内を「コミュニティバス」が走り始めた。コースは渋谷区役所を起点に区内の主な区の関連施設を結びながら、恵比寿・代官山方面を巡り、再び渋谷区役所に戻る全11.5キロ(日曜日、祝日は約11.9キロ)のコース。同バスは、山手線の内側を走るコミュニティバスとしては初の取り組みとなる。

「コミュニティバス」のはしりとなったのは、1995年11月に武蔵野市が導入した「ムーバス」。当時、吉祥駅への乗り入れが比較的不便だった駅東側地域をカバーすることを目的に「15分間隔」「1回100円」のコミュニティバスが誕生した。4.2キロの運行距離を29人乗りの「日野リエッセ」が結んでいる。「ムーバス」はその後、路線数が増え、今では4路線が稼働している。新しい交通手段として定着した「ムーバス」は、今では1日平均4路線計5,074人が利用している。

ムーバス

「ムーバス」の成功を受けて、その後各自治体で「コミュニティバス」導入の動きが加速する。23区内では、1998年、杉並区がJR「阿佐ヶ谷駅」~京王井の頭線「浜田駅」間に「南北バス『すぎ丸』」を導入したほか、1999年には世田谷区が小田急線成城学園前~京王線千歳烏山駅間に「南北バス」を導入している。ちなみに「すぎ丸」は「ムーバス」と同じ日野の「リエッセ」を、「南北バス」は「三菱エアロミディ」を使用している。

杉並区 南北バス「すぎ丸」

また、渋谷区の導入に先立つ昨年12月には立川市がコミュニティバス「くるりん号」を、渋谷区とほぼ同時期の今年3月8日には国立市が「くにっこバス」を、さらに21日には八王子市が「はちバス」を、それぞれ運行開始した。ちなみにこの3市と渋谷区が導入したバスはすべて「日野ポンチョ」という車種で、車名の由来は「PONと乗って、CHOこっと行く。」を組み合わせた造語とのこと。

立川市 くるりんバス 西東京バス はちバス 日野自動車

渋谷区がコミュニティバスの導入検討を始めたのは1998年7月。渋谷区役所企画部企画課の櫻井さんは「渋谷区は不便じゃないと言われることが多いが、お年寄りなどのはまだまだ不便なエリアも多く、コミュニティバスはこうした細かいポイントをフォローすることを目的にしている」と話す。コースは渋谷区役所から広尾、恵比寿、代官山方面を結び約72分で再び区役所に戻る循環型で、バス停は200~300メートルの短い間隔に設置され、全11.5キロの運行区間に35箇所のバス停が設けられている。車内の座席数は12席、定員は19名で、車内には車椅子のまま乗車できるスペースも設けられている。運行は、渋谷区からの補助方式により東急バスが手掛ける。スタート当初の運行台数4台だが、4月13日からは6台に増車されるため、現在約30分となっている運行間隔が20分間隔となり、利便性が向上する。既存のバスと一線を画すのはその運賃。大人と子供の差が無く、小学生以上は1回100円という「ワンコイン」プライスが注目を集めている。

愛称は事前に一般公募を行った結果、78件の応募作品の中から「ハチ公バス」に決定した。バスのデザインは漫画家のマンガ太郎氏が手掛け、バス前面が「ハチ公」の顔をモチーフにデザインされていることから、一部では「猫バス」に対して「イヌバス」とも呼ばれている。運行を手掛ける東急バス総務部の金野さんによると「代官山から渋谷に向かう利用者がじわり増えてきた」と話す。そのユニークな外観から、渋谷周辺へ遊びに来る若者達にも認知度が高まりつつある。

東急バス
ハチ公バス ハチ公バス ハチ公バス運行系統図

■渋谷駅を起点とする「ミニバス」たち

渋谷駅を起点にする、いわゆる「ミニバス」は少なくない。周囲の道が入り組んだエリアを移動する交通手段として、「ハチ公バス」以外にも、各種のミニバスが発着している。

渋谷発着の「ミニバス」の先輩格は「東急トランセ」が運営する「代官山循環線」。平成6年7月に開設された。コースは渋谷駅南口を起点に代官山を巡回して渋谷駅へ戻る約4キロの道のりを、代官山のイメージにマッチする「ワインカラーと紺」のツートンカラーのシックなバスが結んでいる。同バスの特徴は、ドラバーがすべて女性である点。東急バス総務部の金野さんによると「特に意図はなかったが、300名以上の応募者の中に約60名もの女性が含まれていたことから、女性に人気の高いエリアイメージとのマッチングなども考慮して、全員女性を起用した」とのこと。同バスの女性運転手は「サービス・プロバイダー」と呼ばれている。また、全車リフト付きのため、車椅子利用者も、車両後部のドアを開けて乗車ができる。運賃は通常大人150円だが、複数割引で2人目以降は大人1人100円、日曜・祝日も割引により大人1人100円となるサービスも実施されている。

東急トランセ 代官山循環線
東急トランセ

その他、渋谷駅~NHKスタジオパーク間を結ぶ「スタジオパーク直通バス」は8:30~20:30までの12時間、8分間隔で運行されている。運賃は、大人150円、小児80円。

NHKスタジオパーク

東急東横店~東急本店~渋谷マークシティ~セルリアンタワーを結ぶ循環バスも10~15分間隔で運行されている。同バスは、デパート利用客のためのサービスの一環で運賃は無料。東急東横店と東急本店には待合室も用意されており、手荷物が多くなりがちな同店利用客の定番となっている。

東急本店
スタジオパーク直通バス 東急循環バス

■カスタマイズ・ニーズの高まりで人気の「パーティバス」

ミニバスは、こうした路線バスのみならず「カスタマイズ」仕様でも使い方に幅が出てきた。南青山にあるヒューマン・ビークルはバス・タクシーの手配を手掛ける企業。同社が昨年7月よりスタートした「パーティバス」の人気が高い。これは、18~22名乗りの小型サロンバスを使い、18時から22時までの間のうちの3時間、都内23区発着であればコースは自由に設定できるもの。好きなだけドリンクやフードを持ち込み、ワンパターン化している飲み会を個性的に演出できるのが特徴。渋谷周辺で集合・解散するケースも少なくない。

同社代表取締役の本庄さんによると「30歳代の利用が多く、飲み会、合コン、バースディ・パーティなどの需要が中心で、中にはいきなりバスを会社や自宅前に横付けして主役を驚かせる『サプライズ・パーティ』にも使われている」と、ユーザー動向を話す。ただし、コース設定は自由でありながらも「意外に」コースはパターン化していて、最近では、夜の銀座を車窓から楽しんだ後に、レインボーブリッジを渡ってお台場に向かい、そこから横浜に向かって都内に戻るのがゴールデン・コース。ただ、事前にコースを決めていないケースも多く、その日の天候や気分で、ドライバーと話し合って決めるケースも少なくないという。

気になる「パーティバス」の利用料金は1台37,000円(税込み、4月2日~6月30日、土日祝祭日は5,000円アップ)で、例えば18名で利用すると一人当たり2,055円となる。ただし、この料金は1日1台限定企画のため、希望日があれば早めの予約が必要となる。ちなみに今月後半で予約できるのは16日(水)、18日(金)、24日(木)、28日(月)の4日間だけ。(4/11現在)。この料金は旅行業界でも破格のプライスで、オフシーズンとなる12月から3月まではさらにプライスダウンし28,000円で利用可能となる。

貸切バスや観光タクシーの予約専用サイト「たびの足」を運営する同社は、2002年2月に、現・代表取締役の本庄恵子さんが社内ベンチャーとして設立したもので、昨年に続き、7月1日には「ビアパーティバス」(3時間=35,000円)を予定しているほか、飲酒運転に対する取り締まり強化などを背景に、首都圏から関東圏のゴルフ場を往復する「コンペバス」を間もなく登場させるという。

貸切バスや観光タクシーの予約専用サイト「たびの足」を運営する同社は、2002年2月に、現・代表取締役の本庄恵子さんが社内ベンチャーとして設立したもので、昨年に続き7月1日から「ビアパーティバス」を予定しているほか、飲酒運転に対する取り締まり強化などを背景に、首都圏から関東圏のゴルフ場を往復する「コンペバス」を間もなく登場させるという。

たびの足

渋谷では、需要の減った大型観光バスが全面「ラッピングバス」に変身し、乗客を乗せないで渋谷周辺を走る姿が目立つようになってきた。バス会社も、車庫で寝かせておくよりは、少しでも収益を生み出すラッピングバスとしての需要にも積極的に応えている。一方で、元気なのがミニバスだ。コミュニティ・バスなどの路線バスにおいては地域密着による路線の細分化に応えることが可能となり、貸切バスでは「動くパーティ会場」など小規模コミュニティに対する新たなニーズの掘り起こしが可能となってきた。マイカーの普及に伴い、低迷気味だったバスは、細分化するコミュニティに対応する新たな「ツール」として今後の有効活用が期待される。

たびの足 たびの足
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