「ハンゲーム」などのゲーム&コミュニティーサービスを展開するNHN Japan(品川区)は、渋谷駅東口・旧東急文化会館跡地で開発工事が進む、超高層複合ビル「渋谷ヒカリエ」(渋谷区渋谷2)に本社を移転するとともに、それに先駆けた2012年1月1日にネイバージャパン(品川区)、ライブドア(新宿区)と経営統合することを発表した。このほど当サイトの取材に応じ、その経緯を明らかにした。
2000年9月、韓国最大のインターネットサービス会社NHNの日本法人としてハンゲームジャパンが設立し、同年11月より日本語版サイトの運営がスタート。2003年8月に社名をNHN Japanに変更し、同年10月にウェブ検索サービスを手掛けるネイバージャパンと合併。2010年5月にポータルサイト「livedoor」を運営するライブドアの株式を取得、子会社化。2010年12月期の売上高は前年比113%増の135.6億円に達し急成長を遂げる。
移転の理由は、現在、JR大崎駅前のThinkPark Towerビル内に拠点を構える同社およびネイバージャパンなどの従業員数約950人に、昨年子会社化した西新宿にオフィスを置くライブドアの従業員数約450人が新たに加わるなどの事業拡大・人員増加に伴うもの。「昨年末ごろから新宿や渋谷エリアなどを中心に本格的に物件を探し始め、キャパシティーや条件面の合う『渋谷ヒカリエ』に出合い、今年3月に決定した」と同社ハートフルリレーション室総務チーム、マネジャーの野村知之さん。入居を予定するフロアは34階建て同施設の6 フロア、約1万2000平方メートル。
同社とネイバージャパン、ライブドアの3社は、2012年1月1日に経営統合に伴って複数事業拠点を同施設に集約し、連携・事業効率の向上を推し進める。さらにゲームとウェブサービス(検索・メディア・SNS)の開発から運営までを一貫して手掛ける「国内ナンバーワンの総合インターネット企業を目指す」という。
移転先となる同施設には、野村さんは「渋谷は人が集まり、モノが集まり、情報が集まる場所。そこに拠点を置くことで優秀な人材が集まり、既存社員にも刺激を与え、その結果、相乗効果として新しいものが生まれてくれば」と立地に一番の魅力を感じたとし、「2000年に渋谷で日本法人が立ち上がり、当時の社員数は10人以下だった。それから恵比寿、大崎と場所を移しながら、1000人を超える社員と共に渋谷の地に戻って来られたことは、とてもうれしい」とも。
「connect(つながり)」をスローガンに掲げる同社は、新オフィスで「従業員が気持ち良く仕事ができる環境や空間作り」にも工夫を凝らす。「IT企業というとオンラインを重視しているように思われがちだが、現在、大崎のオフィス内にはドリンクやお菓子、軽食などを販売するカフェスペースを設け、社員の休憩や、社員同士のコミュニケーションの場を提供している。渋谷の新オフィスは全6フロアに分かれるが、部署やフロアの異なる社員が一緒に集えるスペースを作りたい」という。さらに「一般ユーザーを招いたオフ会などのイベントも、新オフィスでは積極的に展開していきたいと考えている。社員と社員、社員とユーザー、ユーザーとユーザー同士の交流を深めていきたい」と新オフィスの構想にも触れる。
工事が進む同施設には、昨年11月に「モバゲー」を展開するディー・エヌ・エー(代々木4)が本社移転を発表。オンラインゲーム業界内でライバル関係にある会社と同じ施設に移転することについて、野村さんは「お互いに良い刺激になって業界が盛り上がるのはいい」とし、「かつて渋谷はビットバレーと呼ばれていたが、(IT企業が集積することで) そんな雰囲気が渋谷に戻ってくれば」と期待を寄せる。新生NHN Japanの移転は2012年秋ごろを予定。