国立代々木競技場の敷地内に3月21日、2.5次元ミュージカル専用劇場「AiiA 2.5 Theater Tokyo(アイア2.5シアタートーキョー)」(渋谷区神南2)が開業する。
2.5次元ミュージカルとは、2次元で描かれた漫画やアニメ、ゲームを舞台化したもので、演者が登場人物の髪形や衣装を再現しているのも特徴的。作品により異なるが20~30代の女性を中心に人気を博しているほか、海外でも公演されるなど近年注目を集めている。同劇場は、多目的ホール「AiiA Theater Tokyo」を日本2.5次元ミュージカル協会(目黒区東山1)借り上げ、初の専用劇場として1年間(予定)限定で運用するもの。2.5次元ミュージカルの観劇は若年層が多いことなどから渋谷に開設した。席数は800席ほど。
専用劇場開業に当たりインバウンド施策にも注力。ぴあとローソンチケットでは海外からのチケット購入にも対応する英語の購入サイトを開設(クレジット決済のみ)。劇場内では眼鏡型ウエアラブル端末を使った字幕システムを導入。眼鏡のレンズ内に字幕が表示されるため、視点を変えても字幕は変わらず視界の中に表示される。来場者自身で、言語をはじめ文字サイズや表示場所を選ぶことができる。言語は英語・中国語・フランス語・韓国語に対応(演目により異なる)。貸出料は1,000円。
こけら落とし公演は、岸本斉史さんの漫画「NARUTO-ナルト-」を原作にした「ライブ・スペクタクル『NARUT-ナルト-』(以下ナルト)」。初期(単行本1~27巻)に準拠し、落ちこぼれ忍者・うずまきナルトたちの少年期から、ナルトが友人でライバルの「うちはサスケ」と「終末の谷」で戦うまでを2時間強にまとめた。劇中ではマッピングやトランポリンなどを使った演出も取り入れた。
以降は、手塚治虫の同名作品を初舞台化した「ドン・ドラキュラ」、ゲーム「薄桜鬼」を原作にした「ミュージカル『薄桜鬼』黎明(れいめい)録」、2.5次元ミュージカル人気の火付け役ともいえる人気シリーズの学校別公演「ミュージカル『テニスの王子様』TEAM Live SEIGAKU」などをラインアップ。1年で25作品ほどの上演を視野に入れ、同劇場限定の2.5次元ミュージカルに関連したイベントの開催も予定する。
20日に開かれた発表会では、「ナルト」に出演する松岡広大さん(ナルト役)、佐藤流司さん(サスケ役)、伊藤優衣さん(春野サクラ役)、須賀健太さん(我愛羅役)、脚本・演出を手掛けた児玉朋子さんが登場。
佐藤さんが「今までにないアプローチの仕方、見るだけではない楽しみがいろいろある。僕たちも劇場に入って驚いたので、皆さんにも絶対に『おーっ』と言わせる自信がある」と話すと、伊藤さんも「初めてやることがたくさんあり、キャストの皆が一人一人闘ってきた」と振り返った。
「おでこが広い」というコンプレックスをサクラと「共感できて良かった」という伊藤さんのコメントに、須賀さんも「『愛』と書けないといけないので、僕も広くて良かった」と一言。小学生のころから同作が「大好き」という須賀さんは「個人的には(背負う)ひょうたんを壊すことなく千秋楽まで迎えたい」と笑いを誘った。
松岡さんは「世界中で愛されている作品の主演ということで不安や緊張はあるが、愛を持ってこの作品に携わっていきたい」とし、「絶対成功させるってばよ!」とナルトの口調で意気込みを語った。
脚本について、児玉さんは「27巻分を2時間強にまとめるのは難しいのでバッサリ切ったところもあるが、ナルトに一貫して流れている、何のために生きているのか、存在意義を悩んでいることがテーマとして続けば舞台にできると考えた」と振り返った。
同協会松田誠理事は「漫画やアニメが素晴らしい作品を舞台でどういう風に提案できるかと考えた時に、漫画やアニメではできないこと、それはライブであるということだけだと思う。ぜひ体感しに来ていただきたい」と来場を呼び掛け、「当劇場から新しいコンテンツが生まれ、それが海外に渡り世界の人たちに伝われば」と期待を込めた。
「ライブ・スペクタクル『NARUT-ナルト-』」の鑑賞料は、S席=7,500円、A席=5,000円。同劇場での公演日は3月21日~4月5日、同29日~5月10日。