1月2日、初売りとなったSHIBUYA109(渋谷区道玄坂2、以下109)には早朝から福袋を買い求める長蛇の列ができ、オープン後、1階エントランス付近は福袋の中身を交換する若者で騒然となった。
例年約4万個の福袋を売り上げる109とあって、整理券の配布や客の誘導など「初売り仕様」の体制は朝から万全。早朝、始発で訪れた若者らが列を作り始めると同時に整理券を配布。地下鉄のコンコースに直結した地下2階エントランスを先頭に列を整備し、ブロックごとに分けて順に誘導した。
毎年人気が集まるブランド「セシルマクビー」と「リズリサ」の福袋は、その後の混雑を解消するため、地下エントランス前の特設売り場で早朝7時30分から先行販売を開始。追って8時20分に全館をオープンした。同館の発表によると、行列が落ち着いた13時までに並んだ人数は約4万人と、前年の約3万人を大幅に上回る結果となった。
調布と府中から待ち合わせて始発で訪れたという、ともに17歳の女子高生、渡辺さんと野上さん。普段は地元で買い物を済ませるというが「109の福袋は特別」と口を揃える。渡辺さんは12月下旬「下見」のためにショップをリサーチし、野上さんはティーン誌などに載った情報であらかじめ目当ての店を決めて来館。この日はアルバイトで貯めたという資金を手に、それぞれ3万円から4万円分の福袋を買い込み満足気な様子だった。
各店が勝負を懸ける福袋は、蛍光色を配した布袋や、レザー加工の大型バッグなど、パッケージの素材やデザインもさまざま。地下1階の人気店「リップサービス」の福袋(5,000円)はエナメルのチェーン付きバッグ、5階「JSG」は光る素材のスーツケースに服を詰めた。福袋の価格は、3,000円、5,000円、10,000円が主力。フロアでは、4階~6階の3フロアに人気が集中した。
4階でにぎわいを見せたのは「エゴイスト」「デイライル」など。5階は、特設会場でも福袋を販売した「リズリサ」や「大人系」カジュアルの「マジョレナ」に行列ができ、6階は値頃感のある価格帯で人気の「ワンウェイ」や「ローズファンファン」に人が集まった。
一方、「スライ」(地下1階)や「マウジー」、「ソードフィッシュ」(ともに5階)など、安定した固定客を持ちながらメーンターゲットの年齢が比較的高いショップは、中高生客が圧倒的な力を持つ福袋セールの中で、袋のパッケージや販売個数などが全体的に控えめな印象だったが、限定した個数を順当に売り上げた。
開館後9時を過ぎると、1階エントランス前は沿道まであふれるほどの若者ですでに「フリーマーケット」状態に。買ったばかりの福袋を開けて中身を交換する若者の姿を収めようとテレビ各局の報道陣らも見守る中、「ピンクのカーディガン交換してくださ~い」「だれか黒のダウン交換しませんか~」などのかけ声が109前に響き渡った。
9時過ぎから昼頃までエントランス付近にいた、神奈川県出身の関さんと岩崎さん(ともに高校年生、16歳)はそれぞれ、購入した1万円の福袋の中身を半分以上交換したという。岩崎さんが交換したのは、デニムのスカートとセーターなど。関さんはカットソーやミニスカートを手に動きまわり、道行く人にアピールしていた。
前出の渡辺さん、野上さんの「始発組」ペアも、「みんながいなくなるまで(交換を)やめない」と意気込む。福袋で手に入れた商品の3分の2は「ストック」分、残りの3分の1を少しでも気に入る商品に変えたいという。「ダンスするのにぴったり」「クール系のトップスいりませんか」など、販売員さながらの呼び掛けで人を集めていた。
109は昨年、渋谷駅前の商業施設「109-2」5階と6階に、それぞれメンズフロア(通称「マルキュー・メンズ」)を新設し、初の福袋セールの動向にも注目が集まったが、109-2でも開店前に約1,500人の行列ができるなど順調な滑り出しとなった。(写真=2日朝、SHIBUYA109で福袋を購入後、その場で「交換会」を行う若者ら)