渋谷パルコ(渋谷区宇田川町)パート1・地下1階の「ロゴスギャラリー」(TEL 03-3496-1287)で3月12日、架空の本屋のブックカバーの展覧会「約100人のブックカバー展」が始まった。
主催するkof book sellers union(コフ ブックセラーズ ユニオン)は大阪の古書店「駒鳥文庫」村上純一さん、「ON THE BOOKS」米田雅明さん、「FOLK old books store」吉村祥さんの店主3人によるユニット。「本で世界をもっと楽しく!」をコンセプトに展示やイベントを企画・実施している。
昨年秋に梅田ロフト(北区)で初開催した同企画は、「架空の書店で使われている紙のブックカバー」のデザイン案を公募し、その中から実際に印刷し商品として販売するもの。「自分たちが開業する際の店名やロゴを決めたりすることが楽しかったことを、デザインを通じてシミュレーションすることで本屋をつくる疑似体験をしてほしい」(村上さん)という思いから企画した。
2回目となる今回。開催に向けデザイン案を年齢、個人・法人、プロ・アマ問わず一般公募。制作者はブックカバーの紙はわら半紙やハトロン紙など5種から1種、色は23色から2色使うことができた。約1カ月で高校生~60代の300人以上から350点以上の応募があったという。その中から3人が選んだ117人(点)の作品を実際に印刷した。印刷は自動孔版印刷機(リソグラフ)を専門とした印刷会社レトロ印刷JAMが担当。
会場には、白根ゆたんぽさんなどイラストレーターとして活躍する人の作品や、主婦、学生、会社員など幅広い制作者がデザインしたブックカバーが並び、中には青と赤を重ねて紫色にし3色使いにするなど趣向を凝らした作品もある。3人の「お気に入り」は、村上さん=「一枚の紙として見た時と本に巻いた時のバランスが共にいい」というイラストレーター夜舟さんの「きつねのほんや 銀杏堂」、米田さん=「絵のタッチが好きなのと(電車のイラストを)ブックカバーにした心意気にほれた」という会社員・塚原祐基さんの「丸窓書房」、吉村さん=「きゅんとした」という学生・おおにしゆうたさんの「空色書店」だという。
場内には商品と共に、書店名や書店のコンセプトなどを書いたPOPを掲出しているため、「店名やコンセプトも含め見ていただけたら面白いのでは」と米田さん。吉村さんは「質感など紙ごとにも魅力がある。展示としては珍しく(作品に)触れて、使える展示なので、(来場者が)『自分ならこうするのに』など創作意欲をかき立てられたり、『次は参加したい』と思ってもらえたりして広がっていけば」と話し、村上さんは「本を好きになってくれる人が増えるきっかけになれば」とも。
期間中、場内ではレトロ印刷JAMによるオリジナル缶バッジ作り、シルクスクリーン作りのワークショップ(各500円、今月21日を除く連日14時~16時)を行うほか、ゲストを招いたトークベントも開く。15日=ブック・コーディネーター内沼晋太郎さんと村上さん、米田さんによる「架空の本屋が架空じゃなくなるまで」、22日=レトロ印刷JAMスタッフと吉村さんによる「レトロ印刷JAMの魅力」。いずれも16時~。参加無料。
価格は好きなブックカバー5枚を選べ、セットで525円(同フロア「パルコブックセンター」のレシート提示で、さらに1枚進呈)。各ブックカバー売り上げの20%は制作者に還元される。
開催時間は10時~21時(最終日は17時まで)。入場無料。今月26日まで。